【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#40 元祖デートカーは初代日産ガゼールだ!

公開 : 2026.09.04 12:05

自動車はロマンだ! モータージャーナリストであり大乗フェラーリ教開祖の顔を持つ清水草一が『最後の自動車ロマン』をテーマに執筆する、隔週金曜日掲載の連載です。第40回は『元祖デートカーは初代日産ガゼールだ!』を語ります。

初代日産ガゼールがやってきた!

こうして1980年秋、18歳の私の元に、初代日産ガゼールがやってきた。天にも昇る心地だった。

1.8LのZ18型エンジンは115馬力。そのパワーを、5速MTを通じて余すところなく路面に叩きつける。もちろんぜんぜん速くありませでしたけど、当時は一億総中流時代であり、大して速いクルマが存在しなかったので、性能差は根性(あるいは狂気)で簡単に克服できた。

前回に続き、筆者がかつて所有した初代日産ガゼール(1.8Lでした。写真は2L)の話です!
前回に続き、筆者がかつて所有した初代日産ガゼール(1.8Lでした。写真は2L)の話です!    日産自動車

そしてデザイン。ガゼールは信じられないくらいカッコよかった。

当時乗用車には、セダン系、コンパクトハッチ系、そしてスポーツ系の3種類しか存在せず、セダン系=おっさん、コンパクトハッチ系=サンダル、スポーツ系=カッコマンというのが、全国民の共通認識だった。

ガゼールは誰が見てもスポーツ系であり、しかも最先端のカッコよさ(≒直線基調のスポーティなフォルム&角形ヘッドライト)に満ちていたので、全国民が羨望の眼差しを向けた(本当)。

「うわ、カッコいいね~」

「ちょっとカッコよすぎるんじゃない?」

「フロントウインドウの角度、すごいね。これならスピード出るでしょ!」

そんな賞賛の言葉が浴びせられた。当時、クルマの速さは、フロントウインドウの角度で決まった(ような気がした)のである。

本当の本気で最先端にカッコよかった!

実際のところ、3代目日産シルビア/初代ガゼールは、本当の本気で最先端にカッコよかったし、しかもそれは、日本初の本格的な『デートカー』でもあった。

デートカーというと、S13型5代目シルビア(1988年~)や2代目プレリュード(1987年~)がその代表とされるが、実はその8年も前、3代目シルビア/初代ガゼールが先陣を切っていたのである!

友人たちと車中泊旅行で訪れた福井県にて!
友人たちと車中泊旅行で訪れた福井県にて!    清水草一

デートカーとは、『スポーツカーのような外見を持つ快適な乗用車』のことだが、私のガゼールはまさにそれ。外見は完全にスポーツカー『みたい』だったし、エアコンもパワーウインドウも付いていた。パワステはなかったけれど、タイヤがとっても細かったので(165SR14)、そんなものは要らなかった。ちなみに2Lの最上級グレードには、パワステも付いたようです。

私はガゼールで青春を燃焼させた。当時、スピードは豊かさの指標であり、老若男女がスピードを愛していたので、現在みたいに世間から厳しく指弾もされず、ひたすら全開でスピード(直線限定)に熱狂した。

カッコいいガゼールのお陰か、間もなく彼女もできたので、彼女を助手席に乗せてさらに飛ばした。彼女はそれをとても喜んでくれたので、ますます調子に乗って飛ばすという正のスパイラルだった。

友人たちとは車中泊の旅に出かけ、狭いガゼールの車内で男3人、縮こまって寝た。これが青春でなくて何だろう!

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    清水草一

    Souichi Shimizu

    1962年生まれ。慶応義塾大学卒業後、集英社で編集者して活躍した後、フリーランスのモータージャーナリストに。フェラーリの魅力を広めるべく『大乗フェラーリ教開祖』としても活動し、中古フェラーリを10台以上乗り継いでいる。多くの輸入中古車も乗り継ぎ、現在はプジョー508を所有する。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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