知ってた? ポルシェ964「フラットノーズ」 元オーナーは元首 試乗記

公開 : 2017.10.07 19:10

ほとんどご存知のかたはいないのではないでしょうか。「ほぼオーダーメイド」のポルシェ964ターボ・フラットノーズ。930に比べると控えめゆえ、異様なオーラを放ちます。試乗記です。

もくじ

「フラッハバウ」 聞いたことがありますか?
930→964 わずか13%共通 大きな変化
964 無数の派生モデル 全盛時代へ
極めて異端 964フラッハバウのディテール
964フラットノーズ 実際に乗ってみると……

「フラッハバウ」 聞いたことがありますか?

車名を聞いた後の沈黙は重く、文字にならない困惑の空気が辺りを包む。発音のしにくさも、困惑の理由だろうか。ドイツ語に堪能でもなければ「フラッハバウ」となめらかに発音するのは難しく、本当に存在する言葉なのか? とさえ思うかもしれない。

真相はどうであれ、このクルマを目の前にすると、以前のオーナーが自分好みに改造しただけのクルマではないか? とさえ思えてくる。なぜなら、同じクルマが1台として存在しないからだ。

あなたがこのクルマを初めて見るとしたら不思議でも何でもない。この超レアな派生車種は、当時からも積極的には宣伝されていなかったからだ。調べるほどに謎が深まっていくような気がして少し気が遠くなった。

製作はポルシェだが、中身はその最先端技術チーム(現在では特別部として知られている)が手掛けた。その上、ほとんどのフラッハバウは、プレスリリースのインキも乾かないうちに端から完売した。80年代後半に前世代のフラットノーズを買い漁ったロンドンのシティボーイたちでさえ、1台を見つけるのに苦労しただろう。

1993年の段階で、標準仕様の964ターボでさえ、買うのにほぼ£130,000(1700万円)かかった。いわんやここで紹介する仕様でカスタマイズされたクルマとなるとそのほぼ倍額だった。貴族か何かではなければ買えなかったと言ってもいいだろう。今、目の前にあるこの個体の最初のオーナーはブルネイ・ダルサラーム国のスルタン(=元首)であった。

さて、ポルシェ伝説における位置付けについて理解するためには、まず、標準仕様の964がそれまでの911と比べてどれほど斬新だったかを理解する必要がある。

 
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