ラジコン、ここまで進んでいた 英LMP12に潜入 緻密さ、まるでF1?

2018.03.04

サマリー

ラジコンカーをただのオモチャだと思ったら大間違い。レーサーに大事な工学の基礎を教えてくれる、技術の結晶です。イギリスだけでもクラブは220、競技人口は1万人。気温に左右されるタイヤや精密なサスペンションなど「ここまで進んでいたのか」と驚くことでしょう。

text:Hilton Holloway(ジョン・エヴァンス)

もくじ

ハミルトンも心掴まれたLMP12
最先端をいく電気技術の結晶
緻密な調整 気温が物言うことも
イギリス自動車産業の未来は明るい
番外編 LMP12にかかるレース費用

ハミルトンも心掴まれたLMP12

イギリス1/12スケール・ラジコン(RC)カー選手権、LMP12。その第6戦第2レグ会場、ニューカッスル近郊のロード・ローソン・オブ・ビーミッシュ・アカデミー体育館へやって来た。

出迎えるのは壊れた自動販売機と、主催者バーニー・エクレストン……もとい、ピーター・ウィントン。年齢を聞くと、一瞬おどろくかもしれないが、そんなに歳ではない。

でもここで笑ってはいられなかった。

わたしがオンボロ車で乗り入れた駐車場には、BMW X5 M50d、ゴルフR、メルセデスAMG C63といったそうそうたるクルマが並んでいたのだ。わたしと違ってお金に困らない方々らしい。

アカデミーのプレイルームに設けられた「ガレージ」を覗けば、彼らがレースをしに来たことは明らかだ。電圧計、ハンダごて、電動ドライバー、プライヤー、絶縁テープ、鮮やかなプラスチックボディ、そして飲みかけのファンタなんかで埋まった机のまわりにいるのは、70人ほどの男たち(女性は1、2名だけだ)。年齢層は幅広いが30代が多そうだ。

明るい黄色のウエスで愛車のボディを丹念に拭く者、配線の接続を一心にチェックする者。部屋の隅では年かさの男たちが、マシンがスライドしやすいようにと、3台の小型旋盤でタイヤのゴムを削りとっている。

F1チャンピオンのルイス・ハミルトンも、RCカーが輝かしい経歴の始まりだった。6歳の時に父親アンソニーからマシンをもらい、レースを教わった。そして早くも翌年のBRCA国内選手権で2位に入るのだ。

驚いたことに億万長者の今となっても、かつてのライバルを応援するより自ら参加する方が好きだという。

無理もない。ヨーロッパLMPで14度、そして世界タイトルに5度も輝いたデイブ・スパシェットという人物がいるのだ。レース歴は36年、RCカー選手権の草分けLMPが1976年に始まって間もない頃から走り続けている。

話を聞いてみよう。

 

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