グランツーリスモ生まれ アウディeトロン・ビジョン・グランツーリスモ 試乗記

公開 : 2018.04.22 15:40


DTMマシンベースのパワーウエイトレシオは562ps/t

クルマの基本構造は、アウディのモータースポーツ部門が2018年のA4 DTMレースカーの部位を組合せた、チューブラーフレームとなっている。サスペンションはダブルウイッシュボーン、電動のパワーステアリングとブレーキシステムを持つ。

今後生産されるであろうeトロンブランドのクルマの技術を用いるかたちで、eトロン・ビジョン・グランツーリスモには3基のモーターが備わっている。1基はフロント側に搭載され、2本の前輪を駆動し、2基はリア側に搭載され、後輪それぞれを駆動する。

モーター3基を合わせた最高出力は816psにも及び、車重1450kgのクーペのパワーウエイトレシオは562ps/tに達する。アウディは正式な最大トルクを公表していないが、複合で101.7kg-mほどにはなるようだ。アウディ自慢の4輪駆動、クワトロシステムによって、フロントとリアだけでなく、リアタイヤ左右それぞれも駆動力を自在に配分することが可能。0-100km/h加速は2.5秒で、最高速度は225km/hに制限されている。

車内は左ハンドルで、アウディのDTMレースカーに近い。ドライビングポジションは、キャビンの後方に寄り、背もたれはかなり倒れている。わたしは6点式のハーネスで、カーボンファイバー製のシートにしっかりと固定される。

エンジンをスタートさせる手順は、通常のクルマとは異なる。

まず初めにブレーキを踏むのは同じ。そして、ドライブボタンを押す前に、主電源を入れるため、運転席左側の床に取り付けられたドライブ・セレクトボタンの中央にある、スイッチを押す。電子的なヒューッという音が聞こえたら、スタート準備が整ったサイン。

アウディのオーバルコースにコースインするとき、リアモーターからうめき声のような音が聞こえたが、驚くほどのものではなかった。

スロットルレスポンスは鋭敏で、ステアリングフィールは極めてダイレクト。1台限りのプロトタイプにもかかわらず、簡単にスムーズに走らせることができ、技術の高さを物語っている。しかし、ベースはDTMレースカー。このeトロン・ビジョン・グランツーリスモはこれまでわたしが運転したどんな電動スポーツカーよりも、スパルタンだった。

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