試乗 トヨタ新型クラウン・プロトタイプ ハイブリッド車/2ℓターボ車を比較評価

公開 : 2018.06.09 00:00  更新 : 2021.01.28 17:04

買いか? ライバルはドイツ勢

操縦性は「どこでも弱アンダー」、とこれはカローラHBプロトでも使った台詞だが、あっちはFF、こっちはFRである。激しい加減速を伴うコーナリングで安定した弱アンダーステアを保つのはクルマにもドライバーにも難しい仕事。しかし、新型クラウンは容易くこなす。しかも、標準サスもRS系のコンフォートやスポーツ+でも同様。サスの柔硬でピッチやロール変化が変わっても操縦性は維持される。それはタイトターンと高速コーナリングでも同じだ。

これだけ操縦特性が落ち着いていると、コーナリング中の加減速も躊躇なくできてしまう。スポーツ+モードで向上するのも横Gを受けながらの加減速コントロール性。加減速コントロールでラインを決めていくコーナリングは実に心地いい。

その妙味をパワートレインとのウェルバランスで楽しめるのもターボRS系なわけだ。

試乗を終えて印象をまとめているとフットワークの味わいはどこかBMW的でもあり、外観の印象も欧州の上級セダンのトレンドを感じさせる。もしかして今度のクラウンは海外展開を拡大するのだろうか? あるいは国内市場での欧州車、とくにドイツ車へと流れやすい世代の獲得を考えたのかも知れない。例えば、同予算でメルセデスやBMWを狙えばCクラスか3シリーズになるが、クラウンの車格設定はEクラスや5シリーズに相当。ならばかなり買い得であり、それが不自然ではないのも新型クラウンである。ひょっとするとクラウンの大転換で最も影響を受けるのはレクサスかもしれないが。

新型がクラウンらしいかと問われれば返答に困ってしまうが、「コネクティッドカー」も「新トヨタ・セーフティセンス」あるいは「TNGA」等々、トヨタの新世代戦略を網羅的に取り入れ、新世代戦略の旗艦となる条件はすべて揃っている。「トヨタの旗艦?、そりゃクラウンでしょ」と納得もできる。そして「良いクルマ?」と訊かれれば「そうだよ」と迷わず答えられる。

伝統に裏打ちされたクラウンの名が響かないドライバーこそ新型に乗ってみるといい。そういったドライバー達が、きっと新しいクラウンの常連さんとなるに違いない。

なお、AUTOCAR JAPANでご覧になっている方は、「すべての画像をみる」ボタンから、外部メディアの方は、記事下のリンク「『試乗 トヨタ新型クラウン・プロトタイプ』すべての画像をみる」から、ほかの画像をお楽しみいただける。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

トヨタ クラウンの人気画像