米レース史最大の事故から15年 なぜマクラーレンのテスターに? インタビュー

公開 : 2018.08.11 16:10

マクラーレンのテストドライバーに

「われわれが造るクルマはすべて、どんな才能のドライバーでも次に何が起きるのか把握し、自信を持って自己の限界に達することができるよう、リニアで予測可能なハンドリング性を備えていなければなりません。例えば570Sとセナの性能が全く違うように、当社のクルマはそれぞれ異なる限界性能を有していますが、基本的な点は同じです。

それは、ドライバーに自信を与えられるクルマでなければならないという点です。クルマはそれぞれの限界性能によって違いを発揮します。つまり、570Sはロンドンからミラノへのドライブに、セナはサーキット走行にフォーカスしているのです。ですが、両車ともどちらの用途にも使えますよね」と彼は簡潔に話すが、それを実現するための作業は気が遠くなるほど大変なものであろう。

ブラックは早くもチームの中心に戻ってきたことを大いに楽しんでいる。「わたしは熱心で熟練したひとびとと働くことが大好きですし、トップエンジニアと30年間をともにしてきた経験を活かせるのはうれしいことです。マクラーレンの皆さんはとても温かく、仕事を深く愛しています。

わたしたちは、サーキットに最適なレースカーと、どこでも高い性能を発揮するロードカーを造るべくチャレンジしていますが、当然それは簡単なことではありません。例えば、レーシングドライバーがコーナリング中にアクセルから足を離すことは絶対にありませんが、ロードカーを毎日運転するドライバーはどうでしょう? そういったことを考慮しなくてはならないのです」

ブラックはまだしばらく忙しい日々を送ることになりそうだ。何より、本人がそれを望んでいるのだから。

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