ルノー 4 プラン・シュッドで1400km(2) 宇宙に浮かぶ巨大なエネルギーの塊 入念な計画と特別な許可あってのゴール

公開 : 2026.09.11 18:10

些細な発言で挑むことになった、ソーラーパネルの電気だけでグレートブリテン島を縦断する1400kmの旅。ルノー 4 プラン・シュッドに乗り北端の村、ジョン・オ・グローツを目指しました。

「空には、こんなに巨大なエネルギーの塊がある」

ルノー 4 プラン・シュッドを太陽光で充電しながら、グレートブリテン島最北の村、ジョン・オ・グローツを目指す旅。初日の宿泊先は、ウィルトシャー州のチッペンハムだ。ここにはサポート部隊を担う、パワーロジスティクス社の拠点がある。

季節は初夏。1年で最も昼間の時間が長い時期だから、早起きして夜明けに染まるストーンヘンジを眺めに行く。「空には、こんなに巨大なエネルギーの塊があるんですよね。もっと活用しても良いですよね」。誰かが口にする。

ルノー 4 E-テック・プラン・シュッド(英国仕様)
ルノー 4 E-テック・プラン・シュッド(英国仕様)    スタン・パピオール(Stan Papior)

筆者は、グリーンランドでフォーミュラEを走らせたり、グレートブリテン島の南西に浮かぶ離島、セントヘレナ島へバッテリーEVの充電器を敷設したり、30年近く電気自動車に携わってきた。だが、今回の旅ほどワクワクした気持ちになったことはない。

運転している4 プラン・シュッドは、モーターからカーナビまで、宇宙に浮かぶエネルギーの塊から得た、無料の電気で動いている。ガソリンスタンドを横目に、清々しい光を浴びながら先を急げる。太陽とタイヤが直結しているようだ。

効率を突き詰めた低く昆虫のようなシルエット

2日目はグレートブリテン島中部、ダービーシャー州にあるウェイリーブリッジ・クリケットクラブの宿泊施設を目指す。ここの電力も、太陽光だけで賄われているという。

高速道路を数時間走ったが、自分たちが走るべきは、下道だと考えを改める。途中の区間が封鎖されており、40kmも遠回りすることになったが。走行距離と時間は厳密に管理されており、サポート部隊とのやり取りで1時間ほど予定が押してしまった。

ルノー 4 E-テック・プラン・シュッド(英国仕様)
ルノー 4 E-テック・プラン・シュッド(英国仕様)    スタン・パピオール(Stan Papior)

3日目はグレートブリテン島北部、スコットランドのエディンバラが目的地だが、途中でダラム州を経由する。2023年にオーストラリアで開かれた、ワールド・ソーラー・チャレンジで11位に入賞した、ソーラーカー・チームが属する大学があるからだ。

ソーラーカーの低く昆虫のようなシルエットは、効率を突き詰めた結果といえる。「僕たちの世代にとって、太陽光発電の活用は大きなチャンスです」。メンバーの学生、ネイサン・ランシング氏が話す。「未来のエネルギーへ、貢献できる可能性があります」

印刷機で作れる曲げられるソーラーパネル

大学から遠くない場所には、フレキシブルなソーラーパネルを製造するパワーロール社もある。新聞の印刷と同様のプロセスで、ソーラーパネルの材料をインク化し印刷機に充填すれば、曲げられるソーラーパネルを作れるらしい。製造コストも小さい。

多くの住宅の屋根は、従来のソーラーパネルを支えるのに充分な強度がない。英国の場合は、その大半を輸入に頼っている。だが、このソーラーパネルは充分に軽い。スマートチャージャーと蓄電池を連携させることで、EVの充電は可能だろう。

ルノー 4 E-テック・プラン・シュッド(英国仕様)
ルノー 4 E-テック・プラン・シュッド(英国仕様)    スタン・パピオール(Stan Papior)

北部のスコットランドは、涼しくて快適。南部は38度という猛暑だったが、ハイランド地方は22度。このくらいの気温の方が、ソーラーパネルも人間も効率良く働ける。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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