ポルシェ・カイエン・エレクトリックの実力を探る(2) 最大の強みは「能力の幅」 ラグジュアリー志向のBMW iX 1番スポーティなポールスター 3

公開 : 2026.09.10 18:10

圧倒的なプレゼンスを築いてきた大型SUVの万能選手、ポルシェ・カイエン。欧州で直接的に競合する、BMW iXとポールスター 3との比較で、UK編集部が各ブランド電動モデルの実力を探ります。

上級ブランドらしく完成度が高いインターフェイス

ポルシェカイエン・エレクトリックとBMW iX xドライブ60 Mスポーツも、タッチモニターは大きいが、必要最低限の物理スイッチは残されている。これが、実際に運転すると使い勝手で大きな差を生んでいる。プレミアムブランドらしい、完成度にある。

ポールスター 3 デュアルモーターは、ドアミラーやステアリングコラムの調整までタッチモニター。電費を確かめるにも、小さな文字で表示されるメニューを複数回タップする必要がある。信号などで停まっていないと、操作は難しい。

手前からポルシェ・カイエン・エレクトリックと、BMW iX、ポールスター 3
手前からポルシェ・カイエン・エレクトリックと、BMW iX、ポールスター 3    マックス・エドレストン(Max Edleston)

それでは、上級な大型・電動SUVに、どの程度の速さが必要だろう。操縦性と快適性のバランス、運転のしやすさのベンチマークは、どこにあるのだろう。

進化を続けるバッテリーEVにとって、それは今も揺れ動く指標といえる。圧倒的な加速力は、数年前ほど強い購買動機へ繋がることはなくなった。反面、価格相応の価値を生み出すことも簡単ではない。馬力か航続距離か。各メーカーは、その答えを探っている。

最もスポーティな走りを披露する3

カイエン・エレクトリック最大の強みは、ライバル以上の能力の幅にある。多様な条件に合わせて、運転体験の特徴、クルマの性格が変化するよう。その多能さは、すべてのモデルへ求められることながら、EVでは特に重視されるのではないだろうか。

実は、最もスポーティな走りを披露するのは、3 デュアルモーター。3台の中で乗り心地は1番硬めで、ステアリングも含めて、大型SUVとして操縦性は直感的で即時的。運転の楽しさはカイエン・エレクトリックを凌駕する、と表現しても過言ではない。

手前からBMW iX xドライブ60 Mスポーツと、ポールスター 3 デュアルモーター
手前からBMW iX xドライブ60 Mスポーツと、ポールスター 3 デュアルモーター    マックス・エドレストン(Max Edleston)

アクセルレスポンスの鋭さは他を凌ぎ、グリップ力が高く、コーナリングも抜群。ドライブモードを問わず、力強く速く、扱いやすい。小変更を経て、トルクベクタリング機能付きのリアデフは廃盤になったが、印象に大きな違いは生まれていない。

ソリッドなステアリングの感触とブレーキペダルの踏み心地は、筆者の好み。意欲的に峠道を走りたいなら、iXでもカイエンでもなく、3だ。

ライバルへ届かない領域を見事に埋める能力の幅

iX xドライブ60も、カイエン・エレクトリックより僅かに速い。操縦性に不満はなく、動的能力は高次元ながら、比較するとラグジュアリー志向にある。試乗車にはオプションのエアスプリングが組まれ、乗り心地は驚くほどスムーズだった。

標準のスチールコイルでも、スポーティさは逆転しないはず。路面からの衝撃は巧妙に吸収され、減衰力の効いた、落ち着いた乗り心地は印象的。だが、連続するカーブへ飛び込むとロールは大きめで、ボディサイズの大きさも実感する。

手前からポルシェ・カイエン・エレクトリックと、ポールスター 3
手前からポルシェ・カイエン・エレクトリックと、ポールスター 3    マックス・エドレストン(Max Edleston)

そして、カイエン・エレクトリック。コンフォート・モード時は、高速域でも車高は落ちず、iXに迫る快適性と静寂性を叶えている。しかし、ドライブモードのセレクターを回せば、車高が下がりエアスプリングは引き締まり、姿勢制御のフラットさが増す。

トルクベクタリング機能はベース仕様に備わらず、ワインディングでの競争は勝てないだろう。それでも、3へ迫るほど敏捷な走りを披露してみせる。この能力の幅が、ライバルへ届かない領域を見事に埋める。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ポルシェ・カイエン・エレクトリックの実力を探るの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

Google検索で『AUTOCAR JAPAN』の記事を見つけやすくする方法