ロードテスト シトロエンC5エアクロス ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2019.02.23 16:50  更新 : 2021.03.05 21:42

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

乗り味 ★★★★★★★☆☆☆

多くは、シトロエンが大々的に宣伝するプログレッシブ・ハイドロリッククッションに由来する。しかし、C4カクタスもそうだったが、40年前のようにソフトな乗り心地を予期しているなら、それは裏切られるだろう。たしかにC5エアクロスは、競合車のほとんどが持ち合わせていない柔軟さを、この新機軸によって得ている。とはいえ、テスト車が55タイヤを履いていると聞けば、懐の広いサイドウォールが何かを与えてくれることを期待するだろう。

それでもバンプの吸収は良好で、路面を問わずハーシュネスを感じることは断じてない。速度を上げれば多少のロードノイズは発生するが、低速での走行性能や日常的な走りにおける気楽さもおおむね優れている。

それに伴い、ボディはそれなりに傾くが、特に驚くほどのものではない。油圧式バンプストッパーのポイントは、乗り心地を柔らかくできること。というのも、ダンパーが底付きしてもハーシュがないから。さらには、それが結果的にスムースな走りにも貢献する。ステアリングやブレーキ、スロットルなどを荒っぽく操作しても、乗り心地はそれに同調しないので、正確な入力をすれば、C5エアクロスはまさに最高のクルマとなるのだ。

ステアリングは軽い。むしろ軽すぎるというくらいに。スポーツモードのスイッチを入れれば手応えが増すものの、単に人為的な重さが足されるだけで、路面感覚やフィードバックが増すわけではない。それ自体は致命的な欠点ではない。この手のクルマは、ロードフィールに関しては似たようなものだし、正確さに不満はない。

しかし、フィールにかけるとはいえ、一貫した手応えと破綻のなさは褒められる。その代わり、ステアリングの切り始めは無反応で、その後のレスポンスがクイック過ぎる点は、柔らかいサスペンションとの組み合わせにより、思いのほかスムースに走らせるのを難しくする。もし、スロットル開度が中程度以上なら、トルクステアはないものの、明らかな破綻が現れる。あるときはまっすぐ、またあるときはコーナーへ、ステアリングは向くが、扱いにくいと感じることの方が多い。

結果として、総合的に満足できないものだった。明らかに、このクルマは運動性能に優れた部類のSUVを目指してはいないものの、やや矛盾するようだが、入力を無理に押し殺してすべてを丸く収めようとすることもない。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

シトロエンの人気画像