ロードテスト シトロエンC5エアクロス ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2019.02.23 16:50  更新 : 2021.03.05 21:42

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

内装 ★★★★★★★☆☆☆

もしもC5エアクロスに関する寓話を探しているなら、こんなものはどうだろう。フロントウインドウをひと拭きしようとワイパーレバーを押し込んだつもりが、オートワイパー装着車だとそのオンもしくはオフまでしてしまう。もしもワイパーを1度だけ動かして、しかもオートワイパーの作動状況は変えたくないなら、2度押さなければならない。

大胆で魅力的なデザインのタッチパネル式ディスプレイで、メディアやナビゲーションを表示中に温度計を呼び出そうという場合はどうか。これも同じく面倒で、初期画面に戻るには4回、それぞれ異なる場所を押す必要がある。

シートはやや平らだが、ポジションは上々で快適。ペダル間隔は余裕があり、小径のステアリングホイールはオフセットなく配置されている。前席のスペースは広く、後席は3座独立してスライドとリクライニングが可能。その背後には、広いラゲッジスペースがある。

トリムはファンキーなアイテムにあふれ、マテリアルのクオリティも上々に感じられる。さまざまな表面仕上げが煩雑に思えるきらいもあるが、それはドライバー目線での話。腕の下やダッシュボード上面はソフトな素材に覆われ、ドアトリム上部は柔らかくしっとりした感触で、ドアハンドルには金属パーツが用いられているのだ。

ステアリングホイール上のスイッチは素晴らしいフィールで、われわれは最新のメルセデスにも引けを取らないと思った。ただし、クルーズコントロールのレバーが見つけにくく、どれだけ動かしたかわかりにくく、安っぽく強度が低そうなのは改善されていない。右ハンドル車では、グローブボックスのサイズが半減するのも不満の種だ。

運転環境的には、矛盾が目につく。見栄えがよく融通も利くが、同時に苛立ちも覚えるのが、デジタル表示のメーターパネルだ。スピード表示は大きく、ディスプレイ最上部にレトロな横スクロールの速度計を投影することもできる。ところがカスタマイズメニューでダイヤルモードを選んでも、回転計は依然として小さく、しかも読み取りにくいライン状のもので、エンジン回転数を曖昧にしか把握できない。これは、C5エアクロスが走り志向のユーザーに向けたクルマではないことを暗に示している、ともいえる。

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