カーボン塗装技術に15年、はじまりは偶然 アストンからも受注 その軌跡

公開 : 2019.03.21 09:50  更新 : 2019.03.21 12:02

難しいカーボンの塗装

うわさは広まり、最終的には大手自動車メーカーから、カーボン部品に高品質で耐久性の高いクリアのラッカーペイントを施す依頼が舞い込むようになった。調査を行ったところ、このような作業には確立された技術が存在していないことがわかった。「定番の手法は存在していないことに気づき、ひらめきました」とキングはいう。「それなら自分が作って、専門にすればいいってね」

こうして2006年にプロジェクト12が発足した。社名は開業時の工業機械の数からとられた。それまで、カーボン地の仕上げのほとんどは表面を磨いて行われていたが、これでは深い光沢のあるラッカーによる仕上げはできなかった。

カーボンファイバーは編んだカーボン繊維にレジンをしみこませ、型の中で圧力をかけたあと、熱を加えることで完成する。

型から部品を取り外す際にはシリコンを主原料とする剥離剤が用いられるが、これがレジン表面の細かい穴に残ることで塗料やラッカーを弾き、「フィッシュアイ」と呼ばれる塗装のへこみの原因となってしまう。そのためレジンに悪影響を与えず化学的に表面を洗浄することがキングの課題であった。彼は薬品会社にと協力して特別なクリーナーの開発に取り組んだ。

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