アウディRS3 コンペティション・リミテッド(2) 古き良きターボサウンド 歴史に名を残す傑作

公開 : 2026.05.18 18:10

直列5気筒ターボのRS3に、750台限定の特別仕様が登場。399psは同値でも、専用サスやブレーキ、ホイール、シートで差別化されます。一時代の節目となるホットハッチを、UK編集部が評価です。

厚みのある高音の咆哮へゾクゾク

アウディRS3 コンペティション・リミテッドで、ドイツ・フランクフルトの西へ位置するワインディングへ。399psの最高出力は、5600rpmから7000rpmという広い領域で生成される。変速の度に繰り出される、豪快な加速へ陶酔できる。

7000rpm以上での音響は、相当に刺激的。回転上昇とともに、乗り手の興奮も高まる。ダイナミックかRSモードを選ぶと、マフラー内のフラップが積極的に開き、古き良きターボサウンドを堪能できる。甲高くはないが、厚みのある高音の咆哮へゾクゾクする。

アウディRS3 スポーツバック・コンペティション・リミテッド (欧州仕様)
アウディRS3 スポーツバック・コンペティション・リミテッド (欧州仕様)

トランスミッションは、7速デュアルクラッチ。マニュアル・モードを選べば、レブリミットまでしっかり引っ張れる。低速域ではやや反応が鈍く、交差点からの発進時に少しもたつく事はあるけれど。

調整式ダンパーで路面へ追従するPゼロ

コイルオーバー・ダンパーは、減衰力を調整可能。圧縮側を引き締めれば、横方向のグリップ力を増せ、コーナリングスピードを高められる。ステアリングの反応も、一層ダイレクトになる。他方、緩めれば乗り心地が良くなる。

同様に伸長側は、引き締めればダンパーの伸びる速度が遅くなり、操縦性のダイレクトさが強まる。緩めれば、フラットさが増し快適性が増す。

アウディRS3 スポーツバック・コンペティション・リミテッド (欧州仕様)
アウディRS3 スポーツバック・コンペティション・リミテッド (欧州仕様)

基本的には、リフトアップせずに16段階で調整可能。実際は、ダンパーへアクセスするのが簡単ではないものの、その可能性を秘めることが乗り手を満たす。

かくして、走りは素晴らしい。試乗車のサスペンションは硬すぎず、ピレリPゼロ・タイヤは路面へ追従。しっかりアスファルトを捉え続ける。今回は試せていないが、トロフェオへタイヤをアップグレードする必要性は、高くないかもしれない。

一層のグリップ力を引き出す僅かなロール

カーブへ飛び込めば、回頭性へ唸る。僅かに許すボディロールは、意図的なもの。荷重変化で、一層のグリップ力を引き出す狙いがある。ブレーキペダルのストロークは、長めに調整済み。セラミック製ディスクの鳴きを、抑える目的があるという。

この辺りは、技術者、ノルベルト・ゲッスル氏のコダワリだろう。プライベートで乗るフォルクスワーゲン・カリフォルニアのスタビライザーとブレーキも、交換しているらしい。カーブ手前でのブレーキング時は、もう少し効きが強い方が筆者好みだが。

アウディRS3 スポーツバック・コンペティション・リミテッド (欧州仕様)
アウディRS3 スポーツバック・コンペティション・リミテッド (欧州仕様)

ステアリングホイールを通じて、路面とタイヤの状態をつぶさに感じ取れる。ブレーキベースのトルクベクタリングが効果的に機能し、ヘアピンカーブは後輪駆動のようにシャープ。軽いテールスライドを誘うことも可能だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アウディRS3 コンペティション・リミテッドの前後関係

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