スズキSX4 Sクロス SZ5 1.6D

公開 : 2013.06.14 18:29　　更新 : 2017.05.29 18:41

■どんなクルマ？

新しいスズキ SX4は、過去のSX4とは別物と言って良いモデルだ。パフォーマンスが向上しCO2排出量が削減された新しいエンジン、ダイナミクスなシャシー、より豪華になりクオリティもアップしたインテリアなどが特徴だ。そして、何よりもサイズ・アップが行われた結果、そのライバルは日産キャシュガイとなり、その名前の最後に同名のコンセプト・モデルから引き継いだSクロスというネーミングが与えられた。

本来、スズキはSX4の後継モデルであるという混乱を避けたかった。そのためSX4のバッジはトランクに小さく付けられるに過ぎない。実際、来年の今頃までは従来のSX4を購入することができるようだ。その後は、SX4の本来の後継モデルである小型SUVが2015年に登場することとなる。それと同時に、このSX4 SクロスからSX4のネーミングが外されるというスケジュールのようだ。

エンジンは1.6ℓのガソリンとディーゼルから選ぶことができる。そして、ギアボックスはマニュアルおよびオートマティック、駆動方式は2WD、4WDを選択可能だ。

標準的な装備は良好。16インチ・アロイホイール、エアコン、クルーズ・コントロールがどのトリムでも標準となり、テストしたトップ・スペックでは、ダブル・オープニング・パノラミック・ルーフも装備される。

このSクロスで嬉しいニュースは、その開発エンジニアに、ベスト・ドライビング・スーパーミニとも言えるスウィフトの開発チームが加わったことだ。そして、その開発は英国の道でも行われたのだ。

■どんな感じ？

新しいSクロスは従来のSX4よりもシャープなルックスを持つ。鼻は少し低いが、充分にスマートな印象を受ける。スズキは、この新しいSクロスの全体のプロポーションについて、キャシュガイを大きく意識したようだ。

英国でのベストセラーは、今回テストしたモデル、つまり1.6ℓのターボ・ディーゼルを搭載し、マニュアル・シフト、そしてFWDという組み合わせだ。

そのエンジンについては、それほど一所懸命に働いている感じを受けない。トルク・バンドは狭く、その結果、扱い易いエンジンとはいえないのだ。1500rpmから2000rpmの間を維持するようにシフト・アップとシフト・ダウンを繰り返さなければならない。

しかし、そのシフト・フィーリングは非常に良い。また、ステアリングも適度な重さを持ち、狙ったラインをトレースしてくれる。このクラスではしばしば軽すぎるステアリングが気になるが、このSクロスはそれがないのだ。また、ハンドリング同様、ボディ・コントロールもキャシュガイよりも良い。予想通りボディ・ロールはするが、よくコントロールされており、激しくプッシュしてもSクロスはそのラインからはみ出すことはない。ここは、ちょっとしたスウィフト・マジックを感じるところだ。

しかし、その乗り心地には若干の問題がある。中低速域に於いて、充分な靭やかさが感じられないのだ。路面の凹凸を激しく伝えることはないが、スウィフト・チームがセットアップしたと考えると、少々不満が残る。

それでも、高速になるとこれらの問題は一切おきない。スムースで洗練された乗り心地を見せてくれる。

もし、あなたがスウィフトのオーナーであったなら、Sクロスのインテリアは非常に馴染みのあるものだ。デザインも良く、材質も素晴らしい。またエルゴノミックという観点でも問題はない。圧倒的な数のボタンやスイッチがあるが、直感的に操作でき、迷うことはない。

また、フロントの視界は良い。しかい、リアの視界は傾斜下Cピラーと屋根のため、それほど良いとは言いがたい。ドライビング・ポジションは高く見晴らしは置い。残念ながら、サンルーフのためリアのヘッドクリアランスに問題があったが、サンルーフなしのモデルを今回は乗ることができなかたっため、サンルーフがない場合にこれが解決されているかを知ることはできなかった。

■「買い」か？

スズキはこのSクロスをファミリーカーではなく、ファミリーにジャストサイズのクロスオーバーだと呼んでいる。あなたが期待している以上に、ダイナミックなアビリティを持ち、このクラスに望むべきものを持っていると言って良いだろう。価格はまだ発表されていないが、ベース・モデルで£15,000(223万円)、トップ・モデルで£20,000(300万円)台前半となろう。

スズキSX4 Sクロスは、本当に正直なメーカーが作った正直なクルマと言えるだろう。

(マーク・ティショー)