英国バックヤードビルダー訪問記 テンペスト・オブ・イングランド編 前編

公開 : 2019.09.28 20:50

英国が誇るバックヤードビルダー文化の神髄に触れるべく、ウスターシャーにある3つのガレージを訪ねました。それぞれが個性溢れるクルマを創り出す真のエンスージァストたちであり、まさに英国自動車文化を支える存在でもあります。最初にご紹介するのはテンペストです。

英国自動車文化の誇り

バックヤードビルダーは英国自動車文化には不可欠の存在であり、彼、彼女らがこの国のクルマ造りへの情熱を支えているのだ。裏庭に隠れるように建てられた納屋や、農場にひっそりと佇むガレージで、愛犬以外の誰も目にしたことがないマシンたちが、その時が来るのをじっと息を凝らして待っている

この国に数多く存在するエンスージァストたちのなかから、今回はわずか1日で3つのバックヤードビルダーを巡る旅に出たが、彼らは単なる週末のアマチュアメカニックなどではなく、小さいながらも非常に特徴あるビジネスを行っている真のクルマ好きであり、なにより驚かされたのはそのすべて(さらに電話取材した4社目もそうだ)が、ウスターシャーかその近郊を拠点としていたことだった。

英国バックヤードビルダー訪問記
英国バックヤードビルダー訪問記

ウスターシャーの何がこれほど多くのバックヤードビルダーたちを惹きつけているのだろう?

英国エンジニアリング産業の中心であるミッドランズの周縁に位置していることも関係しているに違いない。長年にわたって数々のメーカーやバックヤードビルダーの雄とも言えるモーガン・モーターカンパニーがテストの舞台としてきた、シェルズリー・ウォルシュ・ヒルクライムの存在も忘れるわけにはいかない。

さらに、ここにはガレージを置くだけの広さを持つ数百もの農場と、バックヤードビルダーたちが創り上げたマシンをテストするための数マイルも続く空いた道路まであるのだから、ウスターシャーはまさにクルマを愛するすべてのエンスージァストにとって最高のロケーションにあると言えるだろう。

それではバックヤードビルダー訪問の旅をスタートしよう・・・

ジョー・メイソン

好奇心旺盛なひとびとに煩わされることのない、ウスターシャーの荒野にある農場の一角に佇むジョー・メイソンのガレージは、バックヤードビルダーにとって理想的な場所といえるだろう。

ガレージの外には、約100台にも及ぶ彼のコレクションを停めておけるだけの十分なスペースが広がっており、さまざまに朽ち果てようとしている数多くのリライアント製モデルや、数台のトラックとアトラクション用の乗り物とともに、彼が組み立てとレストア、さらにはメンテナンスを行っているリライアンス・フォックスとキトンをベースにした2シーターの四輪モデル、テンペスト・ツアラーも何台か見つけることができる。

ジョー・メイソン
ジョー・メイソン

ガレージのドアの上には、かつてリライアンスのタムワース工場に掲げられていた巨大なサインが、誇らしげに飾られている。

コンクリートでできた入口スロープに、オイルがしみ込んだオーバーオール姿で現れたメイソンは、2002年に初めて購入したリライアント・ロビンとともにスタートした自らの商売について説明を始めた。

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