スープラの起源がここに トヨタ・セリカXX 2000GT(A60) 後編 体感できる上質

公開 : 2019.10.20 05:50  更新 : 2021.10.11 14:52

1980年代の高性能、いまなお健在

アパートの玄関キーのようなイグニッションキーを捻り1G-GEを始動。軽めのクラッチ、シフトレバーを操作して走りはじめる。

スポーツカーとして考えると音は静かな方で、サスペンションもよく動いて乗り心地もいい。

直線的で力強いセリカXX(A60)のデザインは、この後若干丸みを帯びてA70スープラへと受け継がれた。今日では改造されてしまった個体が多いため、フルノーマルの個体は貴重だ。
直線的で力強いセリカXX(A60)のデザインは、この後若干丸みを帯びてA70スープラへと受け継がれた。今日では改造されてしまった個体が多いため、フルノーマルの個体は貴重だ。

直6エンジンの最大のメリットは振動の少なさにあると言われるが、実際に1G-GEユニットは「完全バランス」という言葉が似合うほど振動が少なく、モーターのようにシュンッと軽く吹け上がる。

最高出力は2.8L版は170ps、24.5kg-mのトルクに対し、2L版は160ps、18.5kg-mなのでパワーがあり余るという感じではない。

それでも80年代のクルマ好きに日本製の高性能エンジンの凄さを十二分に伝えることができていたのだと思う。

今回は古めのオーナー車ということで、軽く流して走った程度に過ぎなかったが、それでも素直なハンドリングは十分に伝わってきた。

鋭く高回転まで回るエンジンと素直なFRシャシーの組み合わせなら、CMで見せたアクロバティックな走りもノーマルのまま再現できたに違いない。

かつて日産がV6にこだわったのに対しトヨタは直6にこだわった。BMWと組んで完成させた現行のGRスープラもまた、直6搭載の上級スポーツカーというポジショニングを忘れていない。

今年で34歳になる白いセリカXXは、現代のGRスープラへと続くレベルの高いスタート地点だったのである。

記事に関わった人々

  • 吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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