【欧州イチの環境性能】トヨタが新型アイゴXハイブリッドを発表、マニュアル仕様は廃止

公開 : 2025.06.09 06:45

トヨタは、欧州最小モデルであるアイゴXの新型を発表しました。アグレッシブな外観とハイブリッド専用パワートレインを用意しており、プラグイン車を除いて、欧州において最も低いCO2排出量を実現したといいます。

ヤリスのパワートレイン採用

トヨタは、欧州向けに販売しているコンパクトモデル『アイゴX』の改良新型を発表した。ヤリスと同じ1.5L直列3気筒ガソリンエンジン+電気モーターのハイブリッドシステムを採用し、システム総出力は116psとなった。

0-100km/h加速は10秒未満と、従来型の14.9秒から大幅に短縮されている。プロダクトマネージャーのシーザー・ロメロ氏によれば、公式のWLTPの認証待ちではあるものの、燃費は31.4km/lを超える見込みだという。

新型トヨタ・アイゴXハイブリッド(英国仕様)
新型トヨタ・アイゴXハイブリッド(英国仕様)    トヨタ

なお、従来の1.0L直列3気筒自然吸気エンジンは廃止となり、同時にマニュアル・トランスミッションも設定から外れた。新型アイゴXは、ヤリス由来の遊星ギア式オートマチックを標準装備する。

このパワートレイン刷新の背景には、英国で導入されているZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制や、厳しさを増すCO2排出量規制がある。ZEV規制では、メーカーが年間排出量を一定量削減するごとにEV車1台の販売実績としてカウントできる仕組みとなっており、EVの目標販売台数を減らしたり、ガソリン車やハイブリッド車をより多く販売したりすることが可能となる。

新型アイゴXハイブリッドのCO2排出量は86g/km。従来のガソリンモデルからは23gの削減となり、ライバルのMG3ハイブリッド+(100g/km)を大きく上回る環境性能を達成した。これは、EVやPHEVなどのプラグイン車を除いて、欧州において最も低い数値とされている。

英国では昨年に約1万4000台のアイゴXが販売されており、仮にこれらすべてが新型ハイブリッドであった場合、トヨタは2000台以上の内燃機関車を追加で販売できた計算になるという。

さらに、このCO2削減量は、欧州トヨタのラインナップの中でも特に排出量の多いモデルであるGRヤリス(215g/km)なら約1600台分、ランドクルーザー(240g/km)なら1400台分の相殺効果を持つ。

GRスポーツ仕様も登場

改良新型アイゴXの価格はまだ発表されていないが、ハイブリッド化に伴い上昇は避けられないだろう。しかし、ロメロ氏は「所有コスト全体を考慮すれば、燃費改善による恩恵があるため、実質的な負担増はそれほど大きくならないでしょう」と語る。

参考までに、従来のアイゴX(ガソリン仕様)の英国価格は1万6485ポンド(約320万円)で、ヤリスは2万3445ポンド(約460万円)からとなっている。

トヨタ・アイゴXハイブリッドGRスポーツ(英国仕様)
トヨタ・アイゴXハイブリッドGRスポーツ(英国仕様)    トヨタ

インテリアも細かい部分が改良されており、従来のアナログメーターは小型デジタルディスプレイに置き換えられ、センターコンソール下にはUSB-Cポートが2つ追加された。EUの規制に対応したドライバー監視用の赤外線センサーや、速度制限警告システムおよび車線維持支援システムのボタンも更新された。

加えて、ダッシュボード周辺やエンジンルーム内の遮音材を増やし、排気系の静粛性も高めているという。上位グレードではガラスの厚みを増やすなど、さらに防音処理が強化される。

新型アイゴXが英国に導入されるのは2026年初頭の予定だという。

また、新たに設定された『GRスポーツ』仕様は、剛性の強化とクイックなステアリング設定によりダイナミックな走りを目指したグレードとなっている。

本格的な高性能バージョン『GR』の計画はないものの、116psという出力は、楽しい走りを味わうのに十分だとトヨタは言う。パワーウェイトレシオでは、かつてのフォルクスワーゲンUp! GTIやフィアット・パンダ100HPに匹敵する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_
  • 編集

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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