【ハンドリングの真実】限界性能とは無関係? 評価はシンプル 後編

公開 : 2020.03.15 18:50

ハンドリングの良し悪しとは何なのでしょうか? 英国版AUTOCARスタッフのアンドリュー・フランケルが、30年以上に及ぶ経験に基づき、自らが考えるハンドリングについての見解を披露してくれました。その答えは意外とも思えるほどシンプルなものです。

セーフティシステムも

もしブレーキングをした時に違和感があるなら、それは何かが間違っている証拠だ。

シートに腰を下ろして真っ直ぐ足を伸ばしたところにペダルはあるだろうか?

ハンドリングの真実
ハンドリングの真実

マニュアルならシフトレバーの位置は?

理想的にはステアリングホイールから手の平を広げた範囲内にあることが望ましい。

セーフティシステムはどうだろう? 介入の度合いや、中間的なスポーツセッティングの有無、さらには実際に役立つシステムになっているだろうか?

トラクションとスタビリティコントロールはそれぞれ独立しているだろうか?

然るべき時にはすべてのセーフティシステムをオフにすることが出来るだけでなく、過大なスリップアングルが発生した場合、ABSがフルに作動するとともに、システムは自動復帰してくれるだろうか?

速度や荷物の積載状況によって基本的なハンドリング性能が変わってはならないが、電子制御式サスペンションが普及した現在でも、これが出来ていないモデルは存在する。

ペースを上げてコーナーをクリアしようとしたり、家族や荷物を載せただけで大きく姿勢を乱すようなクルマは願い下げだろうが、すべての動きが適切にコントロールされている限り、ロールやピッチ、ボディリフトといったものはさほど問題ではない。

一方で、あまりにも締め上げられたサスペンションを持つクルマの場合、道路の凹凸や路面状況の変化を感知することが出来ず、自信を持ってステアリングを握ることは出来ないだろう。

ようやく限界性能に

こうした点を踏まえたうえで、初めて限界性能という言葉を使うことが出来るようになるのだ。

それでも、個人的にはロードモデルが発揮するグリップ限界にはまったく関心が無い。

トヨタGT86(日本名:86)
トヨタGT86(日本名:86)

限界性能が誰も試そうとは思わないほどの程のレベルにあるのであれば、限界でのバランスに意味などないだろう。

さらに、ペースを上げれば上げるほど、ドライバーには迅速な反応が求められるのであり、それだけでさまざまな問題を引き起こすことになる。

だからこそ、限界に近づくとそれをドライバーに知らせることで、容易に自らが持つポテンシャルのすべてを楽しませてくれるアルピーヌA110やトヨタGT86(日本名:86)といったモデルが称賛されるのだ。

では、限界ギリギリと限界を超えた領域ではどのような動きが求められるのだろう?

もちろん、駆動方式の違いなどにより求める性能も変わって来る。

通常の条件であれば前輪駆動モデルがパワーオーバーステアに転じることは決してないが、それも160km/hでのドリフトや、極端に狭い立体駐車場で曲芸のようなドライビングをするのでもなければ問題とはならないだろう。

クルマにはつねにドライバーが予想した動きをすることが求められているのだ。

つまり、重要なのはドリフトの速度ではなく、そのコントロールであり、ドリフト状態へと移行する速度が多少高くてもそれが一定の状態で進むのであれば、コントロールははるかに容易になる。

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