フェラーリ・アマルフィ(1) 12チリンドリへ寄せた姿に640ps ローマの改良版ハードを概説

公開 : 2025.12.23 18:05

ローマの改良版、アマルフィ 驚異的な反応のV8は640psへ 12チリンドリへ雰囲気を寄せた容姿 手元へ物理スイッチ復活 快適クルーザーでも期待通りのドラマチックさ UK編集部が試乗

ローマの改良版 3.9L V8は640psへ

フェラーリは、既存モデルのフェイスリフトを好まない。通常は、技術的な改良を数多く受け、名称も改められ、新モデルとして登場する場合が多い。

今回ご紹介するアマルフィも同様で、ローマの改良版となる。ただし、技術的な進化は従来ほど大きなものではない。最新のアストン マーティンヴァンテージとの比較で優勢なほどだったから、早急に手を加える部分があったわけではないだろう。

フェラーリ・アマルフィ(欧州仕様)
フェラーリ・アマルフィ(欧州仕様)

フロントに載るエンジンは、3.9L V8ツインターボ。レッドゾーンは7600rpmへ上昇し、最高出力を20ps増しの640psへ高めつつ、新しい排気ガス規制へ対応させている。エンジンオイルは0W30が指定粘度で、ターボは17万1000rpmで回るとか。

排気系も改良。アイドリング時は静寂性が増し、触媒は温度上昇が早まった。シャシーは、オプションの磁性流体を用いたダンパーを再調整。タイヤは、ピレリブリヂストンの他に、グッドイヤーも選択可能になっている。

12チリンドリへ雰囲気を寄せたボディ

滑らかなシルエットに格子状のフロントグリル、緊張感ある面構成で仕立てられたローマの見た目を、好ましく受け止めていた人は多いはず。個人的には、近年で最も美しいフェラーリだと思っていた。勢い不足に感じていた方も、いらっしゃるかとは思うが。

アマルフィでは、フェラーリ12チリンドリへ雰囲気を寄せている。グリルは、見慣れたエアインテークへ変更された。写真ではトヨタのハンマーヘッド・ノーズへ似ているように見えるかもしれないが、現物はより精悍。ご感想はいかがだろう?

フェラーリ・アマルフィ(欧州仕様)
フェラーリ・アマルフィ(欧州仕様)

試乗車のボディカラーは、ヴェルデ・コスティエラ。サイドのキャラクターラインが、筋肉質な締まり感を生んでいる。テールライトはクールな表情で、リアスポイラーは展開式。空力特性も磨かれた。

角度で表情を変えるシルバーのアルミホイールも、躍動的な印象を醸し出す。ローマのスタイリングの方がお好みなら、スパイダーならまだ注文はできるようだ。

横に長く、主張が控えめなタッチモニター

インテリアは、ボディ以上に刷新。従来のセンターコンソールは、グロスブラック・トリムが目立ったが、アルマイト加工されたアルミニウム製へ置き換わった。指紋が残りにくく、実用性は改善している。

ダッシュボードの中央下部には、横に長いタッチモニター。これは、12チリンドリと共有する。以前は、縦に長かったことをご記憶だろうか。メーターパネルも、モニター式。アナログのタコメーターを恋しく思うのは、筆者だけではないはず。

フェラーリ・アマルフィ(欧州仕様)
フェラーリ・アマルフィ(欧州仕様)

エアコンの温度やシートの調整など、一部の機能は直感的とはいいにくい。それでも、タッチモニターの主張が控えめなのは好ましい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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