フォルクスワーゲンe-Up!

公開 : 2013.09.13 15:40  更新 : 2017.05.29 18:58

■どんなクルマ?

日産、ルノー、テスラといったEVのパイオニアの存在はすでに確立された。そして、現在、第2の波がEVマーケットに現れようとしている。それが、このフォルクスワーゲンe-Up!や、フォード・フォーカス・エレクトリック、そして間もなく発売されるフォルクスワーゲンe-ゴルフだ。

フォルクスワーゲンとフォードは、パイオニア達がまったく新しいモデルを開発したのに対し、既存のモデルをベースとしたEVを造り出した。その理由は、パーツを共用することでコストを安く抑えるためである。また、生産ラインも同じものが共用できるため、生産台数に応じたフレキシブルな対応が可能というのも理由として上げられる。

フォルクスワーゲンにとって、まだまだ需要が少ないこの手のクルマを生産することはあまり得意なことではない。しかし、これからのEV戦略を考えれば必要なことだし、更には政治的なプレッシャーに抗うためにも必要なことである。

ドライブトレインは、81bhp、21.4kg-mのパワー、トルクを発揮する18.7kWhのモーターをリチウム・イオン・バッテリーで駆動する。バッテリーは230kgの重さがあるが、床下に配置されるため、重心はガソリン・モデルよりもむしろ低くなるという。

また、インテリア・スペースは、EVモデルゆえに侵食された部分もなく、装備や計器類もガソリン・モデルとほとんど変わりない。

■どんな感じ?

相変わらずEVモデルは、内燃機関のドライブに慣れた人間には独特の感覚だ。ロードノイズだけがその静かな走行を遮る存在となる。インスタントに絞り出されるトルクは、0-100km/h加速12.4秒というパフォーマンスを発揮する。相対的に高価な価格を考えなしにすれば、e-Up!は速くスペシャルなモデルである。

また、その増したボディ重量がマイナスとならないのは意外な結末だ。確かに1139kgというボディ・ウエイトは軽いとは言えない。しかし、逆に乗り心地に明白な利益をもたらしている。また、バッテリーをフロアに積むことで低なった重心のため、ハンドリングも向上しているのだ。

ただし、そのステアリングだけは失望を感じ得ないもの。というのも、路面とのコンタクトをほとんど正確に伝えてくれないのだ。

通常のギアスティックの代わりに、セレクターでエネルギー・リカバリーに応じた4つのモードを選ぶこととなる。どのモードであっても、交通状況を予想した走りをすれば、ほとんどブレーキが必要ないぐらい、モーターの減衰力でクルマは停止することが可能だ。

ドライビング・モードは3種類。ノーマル、エコ、そしてエコプラスだ。エコプラスに近づくほど、出るパワーは減らされる。また、他のEVモデルと同様、どのような航続距離を望むかによって、そのモードは選ばれることになろう。ニュー・ヨーロピアン・ドライブ・サイクルのテストによれば、160kmの航続距離となっている。しかし、フォルクスワーゲンは、それを信じたドライバーが立ち往生して笑いものになるのを避けるために、現実的な航続距離をアナウンスしている。夏場は160km、冬場は80〜120kmというのが現実的な数値だという。

実際、われわれは113kmのテストを行ったが、平均して9.3kWh/100kmというエネルギー消費量だった。この比率でいけば、18.7kWのバッテリー容量を考えれば、180kmの走行が可能ということになる。これはかなり良い数値だったと思うが、フォルクスワーゲンの主張は、極めて現実的なものと考えて良いだろう。ちなみに、1回あたりチャージに必要な電気料金は440円という計算だ。

■「買い」か?

e-Up!が合うか合わないかは、あなたがどのような付き合いをこのクルマとするかどうかにかかっている。もし、長距離ドライブが必要であるなら、e-Up!の存在は忘れて欲しい。また、高い購入金額をカバーするほど多くの距離を走らないのであれば同様だ。

チャージは急速充電で30分、標準的な家庭用プラグからは9時間かかる。従って、夜間に充電を行い、毎日160km以下の距離を使用する人に合ったクルマである。しかし、その価格が公式に発表されるまで、その評価をすることはできない。ちなみに、ドイツでは補助金を含めると£22,500(354万円)という価格で購入することができる。

(ジム・ホルダー)

フォルクスワーゲンe-Up!

価格 £22,500(354万円)
最高速度 130km/h
0-96km/h加速 12.4秒
燃費 NA
CO2排出量 0g/km
乾燥重量 1139kg
エンジン 電気モーター
最高出力 81bhp
最大トルク 21.4kg-m
ギアボックス ダイレクト・ドライブ

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