993型911を徹底レストモッド ギュンターワークスF-26(2) どんなポルシェとも異なる体験 圧巻の動的能力に高次元の旋回性能

公開 : 2026.09.05 17:50

北米のレストモッドガレージ、ギュンターワークスによる993型911の最新作、F-26にUK編集部が試乗します。4.0Lツインターボで最高出力は1000馬力以上と圧巻の動的能力を誇り、高次元の旋回性能を兼ね備えるようです。

非常にレスポンシブだという言葉に偽りなし

ギュンターワークスF-26のペダルは3枚とも重く、僅かにオフセットしているものの、踏み心地はソリッドで好ましい。シフトレバーの動きには締まりがあり、ストロークは極めて短く正確。大幅に増強されたトルクを前提に、しっかり強化されている。

低速域でのステアリングは、タイヤが路面へ粘りつくように重い。リムはほぼ真円で、いかにも操舵しやすそう。コースインしてペースを速めると、ステアリングは適度な重さへ転じ、機敏にラインを狙えるようになる。

ギュンターワークスF-26(993型ポルシェ911ベース)
ギュンターワークスF-26(993型ポルシェ911ベース)

現代のポルシェ911と比較すれば、通常の993型はフロントの設置感が薄く、反応も鈍いといえる。だがF-26では、専門家のキャリー・アイゼンローア氏がサスペンションを煮詰め、非常にレスポンシブに仕上げたという。その言葉に、まったく偽りはない。

試乗車には公道不可のスリックタイヤが組まれ、身のこなしの鋭さに貢献していたはず。前295/30 R18、後ろ335/30 R18というサイズも、プラス要素だとしても。

言葉を失うアクセルレスポンスの鮮明さ

ギュンターワークス社は、4年前の993スピードスター・リマスタードで、トレッドを広げステアリングの改善を狙った。最新版ではそれ以上の進化が図られ、シャシー全体のバランスが底上げされたことは明らかだ。

パワートレインは、穏やかなモードでも800馬力ある。4速のまま低域からアクセルペダルを蹴飛ばしても、息を呑むほど速い。サウンドは、ポルシェ・ユニットの特長を強調したような、壮大な響きにある。

ギュンターワークスF-26(993型ポルシェ911ベース)
ギュンターワークスF-26(993型ポルシェ911ベース)

巨大なターボが組まれていながら、アクセルレスポンスの鮮明さに言葉を失う。試乗した日は気温が高く、レーシーなタイヤのおかげで、配慮なしに右足を倒してもトラクションは失われない。初めはムズがるが、パワーオンのまま突進していく。

ペダル配置は、ヒール&トウに理想的。ブレーキペダルはソリッドで、容易にアクセルペダルをあおれる。カーボンセラミック製ディスクが、強力に速度を絞る。

主張は強いのに、気張りすぎず扱いやすい

シフトレバーは、3速と4速の間に癖があり、急ぎすぎるとミスの可能性はある。それでも、回転数を気にしつつ丁寧に倒せば問題なし。どんなポルシェとも一線を画すほど、エネルギッシュでドラマチックに操れる。

最新の992.2型911にも備わらない、生々しさがF-26にはある。GT3を持ってきても、情感的な訴求力では敵わないだろう。挙動の根底には落ち着きがあり、シャシーバランスも素晴らしい。そのすべてへ惹き込まれる。

ギュンターワークスF-26(993型ポルシェ911ベース)
ギュンターワークスF-26(993型ポルシェ911ベース)

今回はグッドウッドのヒルクライムコースを何度か走っただけで、理解しきれたわけではない。だが圧巻の動的能力を叶え、高次元の旋回性能を披露することは確かめられた。恐怖感は、まったくなかった。

993型のレストモッドだとしても、どんな911とも体験は異なる。主張は強いのに、気張りすぎず扱いやすく、運転の充足感は深遠。許されるなら、筆者も1台注文したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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