日産エクストレイル eパワー(2) その気になれば驚くほど強力 頼もしい回生ブレーキに好印象な操縦性 燃費は期待に届かず

公開 : 2026.09.07 18:10

欧州での日産のフラッグシップSUV、エクストレイルが小変更を受けました。車内は物理スイッチと快適なシートで勝手がよく、ダイレクトでリニア、静かなeパワーと操縦性は好印象です。UK編集部が試乗します。

ダイレクトかつリニア、サイレントなeパワー

シリーズ式ハイブリッドのeパワーを売りにする、新しい日産エクストレイル。試乗車は、四輪駆動システムのeフォースも搭載し、車重は実測で1947kgあった。だが、0-97km/h加速は6.6秒と鋭く、トヨタRAV4だけでなく、格上のハイランダーを凌ぐ。

ファミリーSUVとして充分以上の動力性能といえるが、eパワーの特長といえるのが、日産の主張通り、充電不要でもバッテリーEVのような走行感にあること。タイヤは電気モーターで駆動されるため、反応はダイレクトかつリニア。サイレントでもある。

日産エクストレイル eパワー eフォース AWDテクナ(英国仕様)
日産エクストレイル eパワー eフォース AWDテクナ(英国仕様)

ただし、3気筒エンジンは鋭い加速を繰り返したり、高負荷状態を続けると高い回転域で稼働。不快な音質ではないものの、車内にそのノイズが響いてくる。全力を求めてアクセルペダルを踏み込むと、加速が始まるまでに僅かなラグもある。

それでも、徹底した防音対策で常時は静か。普通に運転している限り、そこまでの大パワーを必要とすることも稀だろう。

頼もしい回生ブレーキに、SUVとしては好印象な操縦性

回生ブレーキは通常は弱めだが、セレクターでBを選ぶと頼もしく減速。eペダル・ボタンを押すと、摩擦ブレーキを殆ど頼らずに済む。だがワンペダルドライブではなく、停止にはブレーキペダルを踏むことになるが。その踏み心地は自然で、効きも滑らかだ。

操縦性は、3列シートも選べるSUVとしては好印象。ステアリングは、路面からのフィードバックが薄いものの、適度な重さがあり、反応に違和感なく高精度といえる。セルフセンタリング性は、やや強めのようだ。前後の重量配分は、55:45にある。

日産エクストレイル eパワー eフォース AWDテクナ(英国仕様)
日産エクストレイル eパワー eフォース AWDテクナ(英国仕様)

タイヤは、ハンコックかミシュランを選べるが、どちらもスポーティ寄り。濡れた路面でも良くグリップし機敏に回頭し、高めのスピードでカーブへ飛び込んでも、アクセルペダルの加減でライン調整しやすく思えた。駆動バランスも良く練られている。

モーターは回転直後のトルクが太いが、トラクション・コントロールの制御も優秀。意図的に負荷を高めても、唐突には介入せず、巧妙に機能しつつ安定性が保たれていた。

低速域でやや落ち着きに欠ける乗り心地

四輪駆動システムのeフォースを指定すると、通常のエコ、ノーマル、スポーツに加えて、オフロードとスノーが加わったドライブモード・セレクターが組まれる。悪路コースは試していないが、酷くぬかるんだ路面は難なくクリアできていた。

乗り心地は、低速域でやや落ち着きに欠ける印象。タイヤのサイドウォールは厚めながら、路面の細かな凹凸や強めの突き上げを、完全には吸収できていない。速度域が上昇するとしなやかに転じ、舗装の剥がれた穴も滑らかに処理していた。

日産エクストレイル eパワー eフォース AWDテクナ(英国仕様)
日産エクストレイル eパワー eフォース AWDテクナ(英国仕様)

車内の静寂性は、約110km/hでの走行時に69dBAと、ライバルへ若干届かず。ロードノイズが、強めに聞こえるようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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