【冷や汗も……】信用できるホンモノに乗ってますか? 最上級ジープで試すワイルドな地平 試乗

公開 : 2020.07.13 05:50  更新 : 2021.10.13 15:49

滑走が始まり、リアが横滑りしだして

チェロキーレネゲードのトレイルホーク、そしてグランドチェロキーのリミテッドで急斜面に立ち向かう。

その作法は4WD LOW(低速モード)モードを選び、ヒルディセントコントロール(HDC)のスイッチを押し、あとはシートベルトをきつく締めて祈るだけ。

ジープ・チェロキー(上)/レネゲード(下)
ジープ・チェロキー(上)/レネゲード(下)    田村 翔

ズズッ、ズズッと重登山靴を履いた山男が圧雪を踏みしめるように、ジープが急斜面の草っ原を降りていく。

その途中で僕はブレーキを踏むという暴挙を犯してしまった。するとすっぽ抜けたように滑走がはじまり、リアが横滑りしだして……、大いに冷や汗をかいた。

たぶんどんなに運転の上手い人でもHDCには敵わない。

ちなみにこの直滑降の試乗コースはさすがにヤバいということで、試乗会2日目は別コースが用意されていた。

HDCは半自動運転のようなものだが、その最中でもインフォメーションが途絶えない点は印象的だった。この感覚は、全てのジープのドライブフィールにも共通している。

岩を踏み越える瞬間、水たまりを抜ける瞬間の微かなスリップ、伸びきったリアアシが捉える路面のザラつき。

それら全ての感触がちゃんと把握できるので、安心してドライブできるし、次に行ってみたい場所の想像も無限に膨らんでいく。

まさに「Go Anywhere. Do Anything.」というジープのスローガン通りなのだ。

気になったのは「ピンとキリ」

いずれ劣らぬジープ最上級、中でも特に印象に残ったのは、ヘラヤライエローのラングラー・ルビコン(2ドアモデル、限定100台、完売)と、レネゲード・トレイルホークだった。

言うなれば長兄と末っ子?

ジープ・ラングラー・ルビコン(2ドアモデル、限定100台、完売)
ジープ・ラングラー・ルビコン(2ドアモデル、限定100台、完売)    田村 翔

どちらもコンパクトに感じられ、ドライブフィールも軽快で、まるで草原を走り回るライトウェイトスポーツカーのように感じられたのだ。

ジープの日本市場における販売台数は絵にかいたような右肩上がりで、「FCAジャパンの販売車輛が輸入車シェアの10%を突破」という先頃の偉業にも大きく貢献している。

それほどまでに日本人に受け入れられているジープだが、その主役はラングラーならば4ドアのアンリミテッドだろうし、グランドチェロキーやチェロキー、そしてコンパスといったクロスオーバーSUVという言うなればファミリーカー的な面々なのだと思う。

だがAUTOCAR読者のようなクルマ好きにお薦めしたいのは、よりジープの原種に近い上記の2モデルだ。

今回はワイルドなコンディションで「本物ぶり」を確認できたが、普段使いのインテリジェンスもちゃんと備わっている。

楽しいクルマと出会いたいけれど、4×4じゃないでしょ、なんて思っている全てのクルマ好きにこそ乗ってもらいたい。

きっと新しいクルマ生活様式のドアが開くはず。

記事に関わった人々

  • 吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 田村翔

    Sho Tamura

    1990年生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業後、2013〜2020年までアフロスポーツのメンバーとして活動。2020年よりフリーに転向。光と影を生かしながらレーシングカーやアスリートの「美」と、報道的かつ芸術性を追求した表現を目指し、モータースポーツと国内外のスポーツ競技を撮影する。日本レース写真家協会(JRPA)会員/日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。

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