【e:HEVの走りは?】新型フィット ホーム試乗 エンジン直動/電動、2モーター・ハイブリッドの持ち味を評価

公開 : 2020.08.14 16:55  更新 : 2021.12.28 00:00

どんな感じ?

お温習いがてらi-MMD改め「e:HEV」の基本構成と狙いを。

シリーズ式は発電機によって発電した電力により駆動用電動モーターを稼働、もしくは駆動用バッテリーを充電。駆動力と回生ブレーキは100%電動モーターが賄う。

新型ホンダ・フィットe:HEVホーム(FF:206万8000円)
新型ホンダフィットe:HEVホーム(FF:206万8000円)    森山俊一

構造面では発電機搭載の電気自動車と考えてもいい。

そのため電気自動車の短所である高回転域における効率低下も引き継いでしまう。

具体的には高速域での加速性能と燃費(電費)の低下だ。その弱点を改善すべくe:HEVは、高速巡航時のみエンジンのパワーで駆動輪を駆動し、この状態では状況に応じて電動モーターがパワーアシストや発電を行うパラレル式と同じように振る舞う。

エンジン駆動系の減速比はトップギア相当の固定であり、高速域でも加速などで負荷が大きくなると解除されてシリーズ式に復帰する。

フィットの場合、e:HEV車の直動中のエンジン回転数1000rpmの速度は、約40km/h(計算値)となる。

「e:HEV」の走りとは

実走行では、ドライバビリティも安定する1500rpmを超える60km/h以上が直動の実用守備レンジとなり、バッテリーの蓄電量にもよるが、巡航と緩加速の70~100km/hなら大半で直動を維持する。

ATに比べると巡航回転数が高めにも思えるが、速度と回転数が完全に一致し、CVTのようにアクセル開度で回転数が揺らがないので、余力感の高い巡航感覚を示す。

新型ホンダ・フィットe:HEVホームの後席。座面を跳ね上げたアレンジも撮影してきた。高さのあるモノを積み込むときに重宝する。
新型ホンダ・フィットe:HEVホームの後席。座面を跳ね上げたアレンジも撮影してきた。高さのあるモノを積み込むときに重宝する。    森山俊一

もちろん、本格的に加速に移行すれば直動解除で電動モーターのパワーを活かした俊足を示す。機能としてはAT車のダウンシフトのようなものだが、電子制御と電動の効果で僅かな“間”もなく加速に移行。

シリーズ/パラレルの切替は自然で滑らかである。

つまり、高速の燃費と余力感の「直動」、加速力や力強い踏み込み反応の「電動」。それをシームレスかつ上手に使い分けてるのが「e:HEV」のドライブフィールの特徴なのだ。

乗り心地 先代と違いは?

フットワークは改良型の印象が強い。

車軸周りの細かな揺れや路面当たりの強さは改善され、乗り心地は穏やかで落ち着いているが、バネっぽい収束感の甘さや揺れ返しなど、乗り味に従来車とよく似た部分がある。

新型ホンダ・フィットe:HEVホーム(FF:206万8000円)
新型ホンダ・フィットe:HEVホーム(FF:206万8000円)    森山俊一

ただ、乗り味の質感で新味は薄いが悪い気はしない。クルマのキャラと走りの嗜好が一致していて自然に受け入れられた。

前述の先代短所の改善だけでなく、フットワーク全体を和やかなドライブ向けにシフト。

ファントゥドライブにこだわるホンダ派は日和った印象を覚えるかもしれないが、和気藹々のドライブを中心としたクルマのある生活には似合いだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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