【現行スポーツシリーズの最後を彩る】マクラーレン620R 公道に降り立ったGT4

公開 : 2020.08.27 10:20

1秒毎に運転の楽しさを感じられる

サーキットでの走りは、公道公認とは信じられないほどに凄まじい。

620Rの履くスリックタイヤは、1時間で駄目になるようなレース用スリックより、はるかにハード・コンパウンド。かなり長持ちするタイヤだが、サーキット走行が前提のトロフェオRより、ラップタイムを3秒近く短縮できる能力がある。

マクラーレン620R(英国仕様)
マクラーレン620R(英国仕様)

高いグリップ力が、段違いのトラクションとブレーキングを実現している。マクラーレン620Rは、サーキットの走行会で破壊的な強さを見せつけるに違いない。このスリックタイヤを、どうやってサーキットまで運ぶかは別問題だが。

620Rは本当のレーシングカーではない。車高やサスペンションの設定、スプリングレートなどは、基本的に公道向けだ。

レーシングカーの570S GT4と620Rは、同等のラップタイムでサーキットを走るという。だがGT4の方が、少なくとも150psは馬力が低いとも、マクラーレンの関係者の一人が話していた。

超がつくほど速いが、バランスに優れ、運転は難しくない。充足感は減じてしまうけれど、電子制御の安全システムをオンのままでも、喜びにあふれている。筆者は1秒毎に、運転の楽しさを感じていた。

英国では、マクラーレン600LTが620Rより10万ポンド(1360万円)も安く手に入ることは、無視できない事実でもある。公道での楽しさは上だし、フェラーリ488ピスタやポルシェ911 GT3 RSと比べても、ドライバーズカーとして英国編集部の評価も高い。

過去10年で最も希少なスポーツシリーズ

マクラーレン620Rは、600LTよりはるかに速く、サーキットでより楽しめる。でも、10万ポンド(1360万円)ぶんの差はあるだろうか。

この価格は、車両代だけではない。マクラーレンが、過去10年に生み出してきたスポーツシリーズの中で、最も希少だという事実を裏付ける数字なのだと思う。

マクラーレン620R(英国仕様)
マクラーレン620R(英国仕様)

マクラーレン・セナもあるし、伝説のハイブリット・ハイパーカー、P1も存在してきた。だが620Rと比べれば、希少性は高くはない。

マクラーレン620Rは特別。この10年間を代表する、類まれなスポーツシリーズといえるだろう。

マクラーレン620R(英国仕様)のスペック

価格:25万ポンド(3400万円)
全長:4557mm
全幅:1945mm
全高:1194mm
最高速度:321km/h
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:278g/km
乾燥重量:1386kg
パワートレイン:V型8気筒3799ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/7500rpm
最大トルク:63.0kg-m/5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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