【詳細データテスト】プジョー e-2008 装備内容は充実 可もなく不可もないシャシーと動力系 航続距離は物足りない

公開 : 2020.10.10 16:50

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

e-2008のシャシーは、最新のいかなるコンパクトクロスオーバーにも負けないくらい穏やかだ。そしてその走りは、きわめて広い意味でいえば非の打ちどころのない、感じのいいものだ。

しかし、パワートレインにありふれたコンパクトな5ドアファミリーカーを超えるパフォーマンスが欠けているのと同じく、ハンドリングもほめるところは少ない。かといって、非難するところもあまりないのだが。

e-2008のシャシーは、とにかく害がない、という印象。プジョーといえばハンドリングに期待が集まり、メーカーとしてもそれを意図している節があるので、乗ってみると戸惑ってしまう。
e-2008のシャシーは、とにかく害がない、という印象。プジョーといえばハンドリングに期待が集まり、メーカーとしてもそれを意図している節があるので、乗ってみると戸惑ってしまう。    MAX EDLESTON

市街地などで取り回している限り、比較的俊敏だ。それでも、テスター陣から戸惑いの声が上がったのは、プジョーがハンドリングにいくらかでも鋭さを持たせようと意図していたに違いないからだ。

ステアリングホイールは小皿かというくらい小さいが、ステアリングラックはロックトウロックが2.8回転と、おそらくこのサイズのクルマの水準からすれば20%ほどダイレクトさに欠ける。

そのため、ラウンドアバウトや曲率の大きいジャンクションでは、普通より小さなステアリングホイールを、そこから予想するより多く回さなければならないことになる。

ドライバーはステアリングを切っている間ずっと、これほど小径リムでこの操舵系を作動させるために、プジョーが目をつぶった妥協を思い知らされる。旋回中も自車のポジションを楽に決められるだけの手応えはあるが、ラックのフィールはややゴムっぽい感触で、またアシストが効きすぎているのだ。

だが、舵角が増すと、やや強過ぎるポジティブキャンバーとセルフセンタリングが発生し、コーナリングが直観的になる。それによって、スポーティに走らせると、パワーステアリングはアシストの限界まで力を尽くしているのに、それが有効に働いていないように感じられてしまうのだ。

横方向のボディコントロールはなかなかのものだが、多くのEVがそうであるように、メカニカルグリップのレベルは取り立てて高いものではない。整然と、安全にコーナリングし、滑りやすい路面で飛ばしても、しっかりチューニングされた電子制御ドライバーズエイドが狙ったラインをきっちりキープしてくれる。ただし、かなりボディが傾くこともあるが。

上下方向の挙動は、一貫して落ち着いているといえるものではない。地方道路をハイペースで走るようなときにはややソフトで、そわそわした動きをみせる。舵角がついた状態でスロットルを大きく開けると、ステアリングの乱れが多少なりとも現れる。前輪がどこを向いているのか、常に注意を払っていなければならなくなるのだ。

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