アップデートで弱み克服 プジョーe-2008 GTへ試乗 航続404kmへ伸延 車載システムも更新

公開 : 2023.07.08 08:25

アップデートされたBEVのクロスオーバー、e-2008へ英編集部が試乗。インフォテインメントや航続距離がしっかり改善されたようです。

バッテリーの拡大と高効率化で航続404km

プジョーはバッテリーEVの小型クロスオーバー、e-2008をアップデート。駆動用バッテリーの容量を4kWhプラスの50kWhへ拡大し、e-CMPと呼ばれるプラットフォームにも改良を施した。その結果、航続距離は344kmから404kmへ2割ほど伸びている。

これは、駆動用バッテリーへ与えた変更だけでは叶え難い。マネージメントシステムも改良し、高効率を実現したことになる。実際、電費は8.0km/kWhがうたわれ、増加傾向にある競合モデルより大幅に優れている。

プジョーe-2008 GT(欧州仕様)
プジョーe-2008 GT(欧州仕様)

ちなみに、英国でのライバルの1台に数えられるMG ZS EVロングレンジの場合、駆動用バッテリーの容量は72.6kWhと大きい。それでも、航続距離は439kmだ。

インテリアでは、ダッシュボード上の10.0インチ・タッチモニターが標準装備になったことがトピック。ホーム画面はユーザーにより変更可能で、ミドルグレードのアリュール以上では、アップル・カープレイとアンドロイド・オートにも無線で対応する。

システム自体も有能になった。操作に対する反応が素早く、メニューのレイアウトもわかりやすい。無線通信でのソフトウエア更新にも対応する。画面の照度調整など、細かな項目を発見しやすくなれば理想的だが、完成度は高いといえる。

上級トリムグレードで新素材が設定されるなど、小さな変化も少なくない。ステアリングホイールがドライバーの低い位置へ伸びる位置関係に、変わりはない。

充分以上の加速力 優れた乗り心地も強み

スタイリングにも手が加えられた。フロントマスクの造形は抑揚を増し、プジョー508に似たヘッドライトと、縦に3本並ぶデイライトが引き締まった印象を与える。テールライトも一新され、既存のオーナーならすぐに違いへ気付くはず。

なお、これらのデザイン的な変更は、1.2L 3気筒ガソリン・ターボエンジンで走る2008にも施されている。

プジョーe-2008 GT(欧州仕様)
プジョーe-2008 GT(欧州仕様)

e-2008へ話を戻すと、サスペンションやステアリング系はそのままだが、フロントに搭載される駆動用モーターは強力になった。最高出力が156psとなり、0-100km/h加速は9.2秒でこなす。

パフォーマンス重視の設定とはいえないが、高速道路の合流などでは、充分以上の加速力を披露。プジョーらしく、軽快に市街地を走り回れる。

18インチと大きめのアルミホイールを履いていても、乗り心地が良いことも強みだろう。姿勢制御は落ち着いており、しなやかでありながら安心感も高い。

小径のステアリングホイールは、重み付けが丁度いい。切り始めが不自然に鋭いものの、それ以外は正確性に優れ、滑らかにボディを導ける。ホットハッチとは呼べないまでも、連続するカーブを気持ちよく直感的に運転できる。

ただし路面が乾いていても、ステアリングを切った状態でアクセルペダルを踏み込むと、駆動用モーターのトルクを受け止めきれずフロントタイヤが軽くスピンすることも。カーブへ積極的に突っ込みすぎると、ズルズルとアンダーステアが待っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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