【詳細データテスト】プジョー e-2008 装備内容は充実 可もなく不可もないシャシーと動力系 航続距離は物足りない

公開 : 2020.10.10 16:50

走り ★★★★★★★☆☆☆

電動車といえば、パフォーマンスには期待を抱きがちだ。しかし、ここまでEVマーケットが拡大し、ファミリーカーにさえ電動パワートレインが一般化してくると、それほどでないものが出てくるのもやむを得ないところだ。いわばEVのノーマライゼーションだが、e-2008にはそれが感じられる。

加速性能は、息を呑むようなものではない。レスポンスはじつに鋭く、キレがよくスムースで、ペダルポジションに対しプログレッシブでEVらしいものだ。しかし、0-97km/h加速は9.5秒。48-113km/h加速には9秒近い時間が必要で、高速の合流などではその程度のペースということになる。

EVと聞いて期待する、シートに押し付けられるような動力性能はないが、加速レスポンスは鋭く、小気味よく、正確。ブレーキは強力だが、回生ブレーキ装着車によくある曖昧なフィールが操作性を損ねている。
EVと聞いて期待する、シートに押し付けられるような動力性能はないが、加速レスポンスは鋭く、小気味よく、正確。ブレーキは強力だが、回生ブレーキ装着車によくある曖昧なフィールが操作性を損ねている。    MAX EDLESTON

ここ3年ほどでテストした同じ価格帯のEVは、これよりずっと速かった。昨年、基本設計を2008と共有するDS 3 クロスバックの1.2Lガソリンターボ版をテストしたが、それでさえe-2008より速かったのだ。

それに、136psの出力が、1.6tのEVには物足りなく感じることもある。市街地以外で80km/hを超えると、英国の混み合った路上でより速く走らせるには、平均的なクルマよりもムチを入れなくてはならない。

とはいえ、右足の操作に対する反応はうれしくなるものがある。というのも、小気味よく正確だからだ。日常使いでは、一般的なファミリーカーのエンジンとATが動き出そうとしている間に、すでに前へと進んでいる。

そうはいっても、よほどの低速域を別にすれば、このクルマは本当に走りへ引き込むような、グイグイと前へ出ようとするフィールを感じさせるものではない。

走行モードは3つあるが、モーターがフルパワーを発揮するのはスポーツモードのみで、スロットルペダルにも多少の調整が入る。ブレーキのエネルギー回生は比較的マイルドで、トランスミッションのポジションをDからBへシフトすると効きが強くなる。とはいえ、市街地での1ペダル運転を容易にできるようなクルマとはいえないだろう。

回生モードのパドル調整があれば、エネルギー回収効率を高めるとともに、ドライビングを多少は楽しめるものにしてくれたかもしれない。しかし、プジョーの狙いがエンジン車からの乗り換え組でもなじみやすいシンプルな操作性の構築にあったなら、その目的は十分に達成されている。

おかしなことに、このe-2008のエネルギー回生の傾向は、穏やかなブレーキングでは高まらないが、それでもブレーキペダルのフィールは、この手の複合的なブレーキシステムを備えるクルマらしくソフトでもっさりしている。そのため、高い速度からスムースに減速するのがやりにくい。

とはいっても、ストッピングパワーそのものはかなり強力。テストデータは思わしくなかったが、これは路面が湿っていたことの影響によるものだ。

関連テーマ

おすすめ記事

 

プジョー 2008の人気画像