【ETC利用9割以上でも】高速道路の料金所、なぜ有人ブースがいまだたくさん存在する? 今も大量募集

公開 : 2021.01.03 07:05  更新 : 2022.03.25 18:50

収受員、どんな1日を過ごしている?

ところで、料金収受員の皆さんはどのようなスケジュールで仕事をしているのだろうか?

1つの料金所がオープンすると10名必要……となると3交代制なのだろうか? と思ったら、全く違っていた。

料金収受員の1日の勤務は朝8時半~翌朝8時半の24時間体制(仮眠・休憩など含む)。安定した環境で70歳まで再雇用可。
料金収受員の1日の勤務は朝8時半~翌朝8時半の24時間体制(仮眠・休憩など含む)。安定した環境で70歳まで再雇用可。

1日の勤務は朝8時半~翌朝8時半の24時間体制(仮眠・休憩など含む)とのこと。

1日目 勤務(仮眠など含めて24時間)
2日目 朝9時 勤務明け
3日目 休み
4日目 勤務

と、このようなスケジュールになっている。

また、料金所スタッフを募集しているのは首都高だけではない。

12月現在、第三京浜や横浜横須賀道路の料金所でも、株式会社ネクスコ・トール関東という会社が、職種→高速道路の料金所スタッフ、雇用形態→契約社員として募集中だ。

業績や試験によりほぼ100%のスタッフが正社員としてキャリアアップしており、正社員登用後の定年は63歳! また、定年後もシニア社員として65歳まで、シニア社員終了後も70歳までシルバー社員として再雇用可となっている。

安定した環境で70歳まで再雇用可とはなかなか魅力的な雇用環境に思える。

しかし、実際はなかなか思うように人が集まらないという。そこにはひと昔前とは異なる定年後再就職の実情もある。

「かつては企業の定年が60歳だったので、定年後の再就職先として料金収受員は人気がありました」

「現在は定年が65歳という会社が増えてしまったため、再就職先に料金収受員を選ぶ方が減ってしまいました」

大量募集するもう1つの理由があった

新規路線の開通にともなって、料金収受という業務以外にも別の理由で料金所スタッフが必要となるケースが増えているという。

それは、新しい路線や新しいジャンクションができて、道路の構成が複雑になると、道を間違えるドライバーが必ず増加するからだ。

新しい路線や新JCTができ構成が複雑になると、道を間違えるドライバーが必ず増加。料金収受という業務以外で料金所スタッフが必要となるケースが増えている。
新しい路線や新JCTができ構成が複雑になると、道を間違えるドライバーが必ず増加。料金収受という業務以外で料金所スタッフが必要となるケースが増えている。    shutterstock

降りるべきICを過ぎてしまったり、分岐を間違えてしまったり……その際の案内のためにも料金所スタッフが必要になる。

ICを当初の予定と違う場所で降りてしまった場合、多くは「特別転回」という制度で、料金加算なく、再び、高速道路に乗って本来降りるICまで無償で戻ることができる。

筆者も何度かお世話になったが、「特別転回」をおこなうには必ず料金所スタッフの指示に従うため、有人ブースは必須なのである。

※すべての高速道路ICで「特別転回」が可能というわけではない。

国土交通省が2020年7月に示した方針によると、近い将来、高速道路の料金所における有人ブースを廃止する(つまり全車ETCを利用)方向で検討しているそうだ。

そうはいっても、ETCゲートが開かないなどのトラブルや、ICを間違えて行きすぎるなどのトラブルは、全車ETCになったとしても無くならないだろう。

遠い未来には何か画期的な方法も登場しているかもしれないが、現在のところ周囲の安全を確認して安全に特別転回をおこなうにはやはり、熟練した料金所スタッフの指示が不可欠だろう。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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