小変 アウディQ7 55 TFSIe クワトロ(2) 即時なレスポンスに余裕のクルージング 総合点はマイルドHV?

公開 : 2025.05.19 19:06

アウディのフラッグシップSUV、Q7が小変更 電気で82km走れるプラグインHV 洗練性と高品質を実感する内装 即時的なレスポンスに余裕のクルージング 乗り心地は優秀 UK編集部が試乗

即時的なレスポンス 余裕のクルージング

プラグイン・ハイブリッドのアウディQ7 55 TFSIeは、システム総合で394psの最高出力と60.9kg-mの最大トルクを誇る。余裕ある動力性能で、安楽な高速移動を叶えている。0-100km/h加速は5.7秒。車重は約2.5tあるが、走りはかなり活発だ。

アクセルペダルを踏み込むと、即時的なレスポンスでパワーが展開される。逆に右足を優しく傾ければ、悠々とクルージングできる。

アウディQ7 55 TFSIe クワトロ(英国仕様)
アウディQ7 55 TFSIe クワトロ(英国仕様)

パワートレインには、複数のモードが用意される。ホールド・モードでは、積極的に回生ブレーキが機能し、駆動用バッテリーの充電量が維持される。

デフォルトはEVモード。基本的には駆動用モーターが走行をまかない、必要な場面で3.0L V6ガソリンターボエンジンが介入する。流れに合わせて、市街地を走るような条件に好適だろう。

トルクの谷を埋めるモーター 静かな車内

駆動用バッテリーの残量が乏しくなると、ハイブリッド・モードへ自動的に変更。ガソリンエンジンが静かに始動し、駆動用モーターがトルクの谷をしっかり埋めてくれる。高負荷時には、明確な主張をエンジンは放つ。

8速ATの変速は、例によって極めて滑らか。走行中の排気音や転がり音は最小限で、風切り音も殆ど聞こえてこない。

アウディQ7 55 TFSIe クワトロ(英国仕様)
アウディQ7 55 TFSIe クワトロ(英国仕様)

ブレーキペダルの感触は、もう少し安定したコシが欲しい。回生ブレーキが効いている場面では、ペダルのストロークが長めに感じられ、制動力の発生でやや一貫性に欠けるようだった。

カーブで感じる大きな慣性 乗り心地は優秀

プラグインHVのQ7 55 TFSIeは、ディーゼル・マイルドHVより345kgも車重が多い。基本的には安定感が高く、姿勢制御も落ち着いているが、カーブへ積極的に侵入すると小さくないボディロールが生じる。大きな慣性は隠せていない。

ステアリングの反応には、若干リモート感が伴う。必要な回頭を得るのに、探るような操舵が必要になることも。ステアリングレシオ自体はクイックだが、リニアさやフィーリングがもう少し欲しいところ。

アウディQ7 55 TFSIe クワトロ(英国仕様)
アウディQ7 55 TFSIe クワトロ(英国仕様)

アダプティブ・エアサスが組まれ、乗り心地は素晴らしい。英国の高速道路に点在する目立つ凹凸も、ほぼ気にならないと表現できるほど。橋桁の継ぎ目などでは、若干不快な入力が伝わるけれど。試乗車のアルミホイールは、20インチだった。

リラックスした移動は、得意分野ではある。だが飛ばし始めると、ライバルの方が運転へは惹き込まれる。走りの上でのエンターテイメント性は、高くはないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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