洗練シャシーと実用性で満たす フォルクスワーゲン・タイロン マイルドHVなら3列7シーター

公開 : 2025.05.20 19:05

VWの新型SUV、タイロン 余裕の薄い1.5L 4気筒でも満たしてくれる洗練シャシー 長距離を快適にクルージング 実用性に優れ高品質な車内空間 3列7座が理に適ったチョイス UK編集部が試乗

ドライバーを満たしてくれる洗練シャシー

フォルクスワーゲンの新しい7シーターSUVで、ティグアンより僅かに長いタイロン。中国にも同じ車名のモデルはあるが、欧州市場へ導入されるのは基本的に別物。設計・開発は欧州で、生産はドイツ・ヴォルフスブルクの工場で行われる。

数か月前に、AUTOCARではスペインでプラグイン・ハイブリッドへ試乗している。そちらは、パワートレインのレイアウト上、2列の5シーターだった。だが今回のタイロンは、1.5Lガソリンターボのマイルド・ハイブリッドで、3列の7シーターだ。

フォルクスワーゲン・タイロン 1.5eTSI Rライン(英国仕様)
フォルクスワーゲン・タイロン 1.5eTSI Rライン(英国仕様)

基礎骨格となるのは、フォルクスワーゲン・グループのMQBエボ・プラットフォーム。全長は4770mm、全幅は1849mmと比較的大きいボディを持つが、動的能力に鈍さは感じにくい。車重は、プラグインHVより216kgも軽い。

ファミリーSUVだから、郊外の道を積極的に運転される場面は少ないはず。それでもシャシーの洗練度は高く、ドライバーを程よく満たしてくれる。

長距離を快適にクルージング 余裕の薄い1.5L 4気筒

ステアリングは適度に重く、反応は比較的穏やか。オプションのDCCアダプティブダンパーではなく、通常サスペンションのダンパーでも、姿勢制御は安定。カーブが連続する区間でも乱れることなく、想像以上の敏捷性で応えてくれる。

乗り心地は、低速域で若干鋭い揺れが目立つ様子。DCCアダプティブダンパーでも。だが速度域が上昇すると、しっとり上質さが増していく。タイヤの転がり音や風切り音は小さく、長距離を快適にクルージングできるだろう。

フォルクスワーゲン・タイロン 1.5eTSI Rライン(英国仕様)
フォルクスワーゲン・タイロン 1.5eTSI Rライン(英国仕様)

1.5L 4気筒ターボエンジンは、低域からトルクが太い。高負荷時には、耳障りの良くないノイズを響かせるが。150psの最高出力と25.3kg-mの最大トルクは、車重が1648kgある大きなSUVの場合、余裕を感じさせるものではない。

それでも、7速デュアルクラッチATの仕事ぶりは優秀。巧妙なギア選びで、限られたパワーを最大限に活用できていた。0-100km/h加速は、9.4秒が主張される。

実用性に配慮されつつ高品質な車内空間

ティグアンより長いだけあって、車内空間には余裕がある。1列目と2列目のシートは、上下方向も前後方向もゆったり広々。3列目はそこまで広いわけではないものの、小柄な大人や子供なら問題なく対応できるはず。

荷室容量は、3列目が使える状態で358L。シートをたためば、最大で1905Lという大空間を生み出せる。

フォルクスワーゲン・タイロン(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・タイロン(欧州仕様)

内装は、実用性に配慮されつつ高品質。上級感のある素材が各所に用いられ、ダッシュボード下部にはスマートフォンの無線充電パッドが2基ぶん備わる。パートナーと、順番争いをする必要はない。

センターコンソール部分には、ステレオの音量やドライブモードを選択できる、ロータリーダイヤル。大きなタッチモニターで操作するインフォテインメント・システムはメニュー構造を理解しやすく、車線維持支援システムのオン/オフも簡単に選べる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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