ロータス史に残る1台!初めて乗ったエミーラに感動した話【新米編集長コラム#30】
公開 : 2025.05.20 11:45
AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第30回は、今さらながら初試乗となったロータス・エミーラの話です。
時間を捻出するだけの価値が十分にあった
一度は乗っておかねばと思いつつ機会のなかったロータス・エミーラに、ようやく試乗することができた。諸事情でタイトなスケジュールになってしまったが、結論から書けば、時間を捻出した価値が十分にある、感動的な試乗になった。
試乗車の第一印象は、ジンクグレー(Zinc Grey)と呼ばれるボディカラーの色合いが絶妙で、スタイリングも含めて実にポジティブなもの。直前にBEVであるエメヤとエレトレという『新時代のロータス』を取材していたので、ようやく『知っているロータス』に出会えて嬉しさが込み上げてきた。

今回お借りしたエミーラは、『ファーストエディション』の2L直列4気筒ターボ(365ps/43.8kg-m)。エミーラがこれと3.5L V6スーパーチャージャー(406ps/48.9kg-m)の2本立てなのはご存知だろう。ちなみに2025年モデルからは、前者に『エミーラ・ターボ』と『エミーラ・ターボSE』、後者に『エミーラV6』というグレード名が与えられている。ターボSEなんて、エスプリみたいじゃないかと思いながら、スポーツカーらしい足元がタイトなコクピットに滑り込んだ。
まず、街中を流して考えたのは、エミーラの立ち位置だ。エリーゼより確実にラグジュアリーではあるけれど、エヴォーラほどではない。プリミティブではないという意味で、路面との距離感がセブンはもちろん、エリーゼなど歴代モデルより遠い感じがした。ちょっと『壁』があるかなぁと。
走っていると路面からの突き上げはしっかりあるが、不快ではない。トランスミッションは8速のデュアルクラッチだから走行マナーがよく、しっとり感、動的質感があり、現代的ないいクルマだなぁと思い始めた。
ロータスとしては軽い数値に聞こえない
快適装備のせいか、車重は1405kgとロータスとしては軽い数値に聞こえないが、最近大きく重いハイブリッドやBEVに多く乗っていたこともあり、十分以上に軽快だ。全長4413mm、全幅1895mm、全高1226mmのボディはいかにも手頃なサイズで、乗れば乗るほど自分の中で好感度が高まっていくのがわかった。
高速道路に乗り入れてペースを上げると、AMG製エンジンがそれほどレスポンシブではないと感じた。ドライブモードや条件によるのかもしれないが、シフトダウンをした時のサウンドが『ヴォン』ではなく『ヴォォン』とひと呼吸あるのだ。音質も、あくまで個人の好みとして「悪くはないが……」というもの。

しかし、シフトダウンの変速自体はシームレスであったことは強調しておきたいのと、誤解を恐れずに書くならば、ロータスのパワーユニットに官能性を求めるのはそもそも間違いだと思う。初期型エリーゼのローバー製Kユニットも、その後のトヨタ製ユニットも、個人的にはエンジン自体に大きな特徴を感じなかった。
それよりも、やはりロータスは『身のこなし命』であり、その信条はエミーラもちゃんと継承していたのである。しかも似た成り立ちのクルマであるアルピーヌA110よりもピュアで走りに特化しており、スポーツカー好きの英国らしいDNAに溢れているのだ。










































