【ミニのゆくえ】もはや「ミニ」じゃない? リスク承知で大胆な変革 一歩先行く姿勢が勝利の方程式か

公開 : 2021.01.09 05:45

「ミニが2023年にフルモデルチェンジ」開発関係者は911を引き合いに、ミニDNAの重要性を強調しますが……。次期ミニの行く先を歴史を紐解きながら考えます。

開発関係者の証言「 2023年にフルモデルチェンジ」

text:Kenji Momota(桃田健史)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

あと2年、ミニが2023年に4代目へとフルモデルチェンジする。

英国AUTOCAR編集部がミニの開発者らに直接取材したことで、4代目がどのような方向性を持つクルマなのか、その概要が見えてきた。

ミニ・クーパー(現行モデル)
ミニ・クーパー(現行モデル)

その中で、ミニ関係者はポルシェ911とミニとの共通性についても指摘している。たしかに、BMW時代となってからのミニの進化を考えると、ポルシェ911を連想させる進化の手法を感じるころができる。

ただし、この話はミニ3ドアやミニ・コンバーチブルに対する評価であり、ミニ5ドアはもとより、ミニ・クラブマンやミニ・クロスオーバーといった、ミニの多角化という文脈では、ポルシェ911というより、ポルシェ・ブランド全体との対比になることは明らかだ。

見方を変えると、ブランドとしてミニは着実に事業を拡大してきたが、中核モデルであるミニ3ドアのブランド全体への影響力がとても高く、ミニ3ドアというミニのDNAから逸脱するようなモデルは存在しないといえる。

だが、こうした気持ちを日本を含めて世界各地のユーザーが認識したのは、2010年代に入ってからという印象がある。

BMW時代のミニブランド戦略は企画立案の初期段階から、かなり大胆であり、大きなリスクを背負っていた。それでも、ミニ関係者自らが描いた未来図を信じてここまで走り続けてきた……。

最初は馴染めなかった……

ミニの歴史を紐解くと、当然のことだが、2000年代からの新生ミニと、ブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)による伝統のミニとのギャップが論点となる。

筆者がミニの実車に触れるようになったのは、1970年代後半からだ。その時点ですでに、ミニ誕生から20年が経過していた。

ローバー・ミニ
ローバー・ミニ

1980年代に入ると、当時は日本屈指の外車通りだった、世田谷区内の環状八号線界隈で、ミニを多数扱う輸入車販売店が増加していった。こうした業者との付き合いもあり、首都圏内でミニをドライブする機会が時々あったが、周囲の車内や通行人からは、まるで映画に出てくるクルマを見るような感じでかなり注目された。

そんな伝統ミニの体感がある身として、2001年に量産された新生ミニにスイス・ジュネーブショーで対面した際、素直に馴染むことができなかった。

ビジネスモデルとしては、ダイムラーによるスマートの二番煎じに見えた。デザインやパッケージなど、クルマ自体にはスマートほど強烈なインパクトはなく、「なぜ、復刻版をBMWが手掛ける必要があるのか?」と疑問を持った。

こうした思いは、そう簡単には抜けず、世界各地のモーターショーやイベントで新生ミニに出会う度に、個人的にミニの未来を案じていた。 

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