【日産ノート試乗】走りの「質」向上 ラインナップの中核担う「プレミアム感」

公開 : 2021.03.04 05:45  更新 : 2021.10.11 14:50

いざ試乗「プレミアム」実感

プロト車をテストコースで試乗した時も乗り心地は硬めに感じられたが、その印象は公道で走らせても大きくは変わらない。

とはいえテストコースに比べると舗装状況は不安定で目地などの段差も多い公道である。そこでも同じように「ちょっと硬め」と感じられるのは微小ストローク域でのしなやかなサス制御の賜である。

日産ノート
日産ノート    神村 聖

また、ホイールベースのわりにピッチ挙動が目立たないのも乗り心地の車格感アップに寄与している。

加えて静粛性の高さである。エンジンの始動頻度抑制による静粛性の向上も新eパワーの特徴の1つに掲げられているが、頻度を減らして低出力長回しといった感じで、トータルしたエンジン稼働時間が著しく減少した印象はない。

静かさのポイントはエンジン騒音そのものの減少とロードノイズなどの総合的な遮音低減にある。

加減速とエンジン音の変化で走りの手応えを味わいたいドライバーには走行状況と無関係なエンジン稼働や静かさは不興かもしれないが、シリーズ式ハイブリッドの特徴を活かした静粛性でもある。

ライントレース性に優れた据わりのいいハンドリング。的確なライン補正をおこなうLKAや全車速型ACCなどの先進運転支援機能を備えた最新のプロパイロットもある。

高速クルージングも悠々としている。スモール&コンパクトで最もプレミアムを実感できる走りである。

グレード展開に少々の不満も

「燃費1等賞」を狙わないハイブリッド車というと聞こえが悪いが、WLTC総合モードで30km/L前後まできて多少実用燃費との乖離が大きくても、乗用車全体からすれば圧倒的な省燃費車に変わりはない。

同様の走りの車格感を得られるモデル同士で比較するなら尚更である。ファミリー&レジャーでの使い勝手やカジュアル&スポーティな味わいを求めるならほかの選択肢も考えられるが、快適な長距離走行を前提にしたダウンサイザーには最適な1車といえよう。

日産ノート
日産ノート    神村 聖

ただ、グレード展開には少々不満もある。

新型ノートは3グレード設定され、ベーシックのFはシンプル装備の普及仕様、Sはオプションの拡張性も加えた中間グレード、Xはラグジュアリー内装の発展性も加えた上級設定となる。

グレード展開は一般的だが、意外なのはプロパイロットがXに限定されること。それも「ニッサン・コネクト」とのセットオプション設定で、価格は40万円以上である。

フィットはホンダセンシング全車標準、ヤリスは1Lモデルを除きLTA込みトヨタセーフティセンス標準。

プレミアムを求めて選ぶならXでプロパイロットなどのオプションをプラスでも割高とは思わないが、標準化が進む先進運転支援機構が最上級グレード限定というのはちょっと残念である。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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