三菱がヒューマノイドロボット事業にサプライズ参入! スタートアップ『ハイランダーズ』と基本合意 来年後半から月1000台量産へ

公開 : 2026.07.10 07:25

7月9日、三菱が記者会見を開催。スタートアップ『ハイランダーズ』と基本合意し、ヒューマノイドロボット事業に参入すると発表しました。来年後半から月1000台量産目標とかなり具体的です。桃田健史が解説します。

なぜこのタイミングで三菱が?

梅雨明け前に関東は気温が30度オーバー。そんな7月9日に都内で、あっと驚く記者発表が行われた。自動車メーカーがヒューマノイドロボット事業に参入するというのだ。

しかも、それがトヨタホンダ日産といった日系大手ではなく、三菱自動車工業(以下、三菱)であることにメディアの注目が集まった。『なぜこのタイミングで三菱が?』という観点である。

7月9日に都内で行われた記者発表では、ヒューマノイドロボットが歩行して入場。
7月9日に都内で行われた記者発表では、ヒューマノイドロボットが歩行して入場。    桃田健史

パートナーの対象となったスタートアップは、東京大学発のAI(人工知能)、ロボティクスを得意とする『ハイランダーズ』(Highlanders)。創業は2023年とまだ若い企業で、契約社員を含めて社員は46人だ。

では、発表内容について振り返ってみたい。

大筋としては、『人とロボットが共に働く新しい産業基盤の実現に向け基本合意書(MOU:メモランダム・オブ・アンダースタンディング)を締結』したというもの。

そう聞くと、将来を見据えて基礎的な研究開発からコツコツ始めて……というイメージを持ち人がいるかもしれないが、かなりハイペースでことが進みそうなのだ。

ロボットといっても様々な種類がある中で、両社の連携で最初に導入するのはヒューマノイドロボット。いわゆる人型ロボットであり、海外ではテスラなども普及に向けた事業計画を発表している。

まずは三菱の自社工場でハイランダーズのヒューマノイドロボットを導入。使用データ、運用ノウハウを蓄積しながら、ヒューマノイドロボット領域における知見を深めていく。

熟練工による匠の技を継承する可能性

では、ヒューマノイドロボットが三菱のどの事業所でどのような作業を行うのか。

会見で三菱の取締役会長兼代表執行役CEOの加藤隆雄氏は、ひとつの例として京都工場でのエンジン関連製造を引き合いに出した。

左からハイランダーズCEOの増岡宏哉氏、三菱の取締役会長兼代表執行役CEOの加藤隆雄氏。
左からハイランダーズCEOの増岡宏哉氏、三菱の取締役会長兼代表執行役CEOの加藤隆雄氏。    桃田健史

作業としては、荷物の積み下ろしをする荷役のような単純作業だけではなく、熟練工によるエンジン部品の加工なども念頭に置いているようだ。

溶接や塗装の領域では三菱に限らず、ほとんどの自動車メーカーで産業用ロボットを活用した自動化がすでに進んでおり、ヒューマノイドロボットには熟練工による匠の技を継承することもあり得る。

国が進めるAI普及施策においても、いわゆる暗黙知(あんもくち)を学習することで、日本でのモノづくりのレベルをさらに引き上げようという動きがある。今回の三菱の事例は国の動きと今後、連動する可能性があるのではないだろうか。

将来を見据えて、即断即決

では、そもそも三菱とハイランダーズとはどのようにして出会ったのか?

加藤CEOによれば、最初は生産領域における将来的な人手不足などの解決策を練る中で、アメリカや中国で本格普及に向けた動きが加速しているヒューマノイドロボット領域のリサーチを始めたという。

その過程で、複数のヒューマノイドロボット関連企業と意見交換をしたが、ハイランダーズに高いポテンシャルを感じ、実施的に面談は1回だけで協業に向けた話が始まったことを明らかにした。

こうした即断即決、またその後も物事が極めてハイペースで進む三菱の企業姿勢に対して、ハイランダーズの増岡宏哉CEOも感銘を受けたという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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