ロードスターのような振る舞いは不可能 マツダ6e タクミプラス(2) 走る歓びをもう少し感じたい 1充電480km走れる優れた電費 

公開 : 2026.07.10 18:10

長安汽車ブランドのディーパルSL03がベースの、マツダ6eが欧州へ。6の後継EVに感じられる見た目と、プレミアムな内装で差別化。反面、運転体験はマツダらしくないとUK編集部は評価します。

角度とパワー感が一致しないアクセルペダル

マツダが欧州市場へ導入した、電動サルーンの6e。出発するのに、スタートボタンを押す必要はない。キーを持ってシートへ座り、シフトセレクターを傾ければ動き出せる。

258psの後輪駆動で、発進加速はなかなか鋭い。しかし、速度上昇とともに勢いは鈍っていく。気になるのが、アクセルペダルの反応。マツダとしては不自然なほど、角度とパワー感が一致しないように思えた。

マツダ6e タクミプラス(英国仕様)
マツダ6e タクミプラス(英国仕様)

僅かに傾けるだけで、25%ほどの馬力を呼び出せる一方、深く踏み込んでも100%を直感的に得られるわけではない。調子を乱す、タメがある。

アクセルオフ時の回生ブレーキも、効き始めるまでに遅れがある。強さは数段階から調整できるが、基本的にはドライブモードへ依存。任意に変えるには、インディビジュアル・モードにする必要がある。ブレーキペダルの反応は自然で、滑らかに止まれるが。

気張らず走らせる限り不満ない落ち着き

ステアリングの反応は正確で、2段階に変更できる。ただし一方は驚くほど軽く、タイヤの接地感が殆どない。他方は粘るように重く、こちらもフィードバックは薄い。駐車場などの低速域では、どちらも重め。切り始めの反応は、やや過敏といえる。

サスペンションは、波長の長い揺れは巧みに均してくれるものの、細かな凹凸の処理は苦手な様子。カーブではボディロールを隠さず、アクセルペダルを傾けると前後にもボディは傾く。とはいえ、気張らず走らせている限り不満ない落ち着きにはある。

マツダ6e タクミプラス(英国仕様)
マツダ6e タクミプラス(英国仕様)

滑らかな高速道路では、タイヤノイズや風切り音は小さく充分に平穏快適。長距離ドライブを、少ないストレスでこなせるだろう。

車重は2090kgあり、MX-5(ロードスター)のような振る舞いは不可能といえる。それでも、動的特性で定評のあるマツダ車らしい運転体験とはいえない。エンジンを積んだ、かつての6のような走る歓びを、もう少し感じたい。

現実的に1充電で480km走れる優れた電費

運転支援システムは充実し、名称は特殊ながら、必要ない項目はタッチモニターでオフにできる。車線維持支援や制限速度警告、ドライバー監視などは少し煩わしく思えたものの、よりお節介な例は存在する。アダプティブ・クルーズコントロールは円滑だった。

トリップコンピューターを信じる限り、今回の電費は複合的な条件で平均6.9km/kWhと優秀。充電が100%の状態で出発し、295km走行後の残量は39%だったから、現実的に480kmは1充電で走れると考えて良いだろう。

マツダ6e タクミプラス(英国仕様)
マツダ6e タクミプラス(英国仕様)

英国での価格は、ベースグレードのタクミで3万8995ポンド(約819万円)から。試乗車のタクミプラスは、3万9995ポンド(約840万円)へ上昇する。航続距離が約530kmのテスラモデル3より高めで、メルセデス・ベンツCLA 200 EQテクノロジーに並ぶ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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