【評価は?】キャデラックの末っ子SUV「XT4」試乗 真似のできない、アメリカン・プレミアム

公開 : 2021.04.09 12:25  更新 : 2021.12.17 09:49

後席/トランクをチェック

居心地は「見る、座る、納得」。見た目通りの寛ぎをもたらすキャビンだ。

後席の座面高はSUVとしてはちょっと低め。

競合モデルよりもリアシートの膝まわりスペースにこだわったという後席。
競合モデルよりもリアシートの膝まわりスペースにこだわったという後席。    前田恵介

車窓からの長めを楽しむならもう少し高めで、着座姿勢もアップライトなほうがいいが、腰を低く脚を伸ばし気味にした着座姿勢はゆったりと寛いだ気分になれる。大人4名が心地よく過ごせるキャビンである。

荷室スペースは床面地上高が高めだが、容量は後席使用時でも637L。全長4.6m級SUVでは多少余裕がある。

なお、ハンズフリー機能を備えたパワーテールゲートは全車標準装着されている。

2Lターボ+9速AT 味付けは?

低回転から幅広い回転域で大トルクを発生する直噴2Lダウンサイジング・ターボ搭載。

電動化技術の導入は控え気味だが、気筒休止機構や9速ATを採用。

キャデラックXT4プラチナム
キャデラックXT4プラチナム    前田恵介

駆動方式は、電子制御のツインクラッチAWDシステムを採用。FF/4WDの手動および自動切替機能や後輪の左右トルク配分の最適制御、2WD(FF)時には後輪ドライブトレインを切り離しFF車と遜色ない燃費効率などの特徴を備える。

北米自動車業界を代表するプレミアムブランドとして不足ないスペックである。

100km/h巡航時のエンジン回転数はメーター読みでおよそ1600rpm。大トルク自慢のターボにしては加速移行時のダウンシフトのタイミングは早めだが、高速追い越しなどでダッシュを利かせても使用回転域は3500rpmに届くかどうか。

2段分のダウンシフトでプラス1000rpm、20km/h増速分でプラス500rpmの見当。悠々とした余力感と、加速と連動した回転上昇の伸びやかさが上手に融合されている。プレミアムとスポーティカジュアルを程よく感じられるのが、XT4のキャラに似合う。

フットワークもそのとおりの特性である。

足まわり/最低地上高の話

神経質な路面からの入力を往なすためか車軸まわりに若干の緩さを感じさせるが、ルーズあるいは曖昧といった部分はハンドリングにも乗り心地にも感じられない。

高速コーナリングでも切れ味などのスポーティ感を誇張するような反応はなく、身構えたり神経質に挙動を読み取るような運転は不要。

“キャデラック初のコンパクトSUV”としてデビュー。成約した顧客は若い層に加えて、「50~60代の顧客もけっこう多かった(日本法人)」。
“キャデラック初のコンパクトSUV”としてデビュー。成約した顧客は若い層に加えて、「50~60代の顧客もけっこう多かった(日本法人)」。    前田恵介

高速も山岳路も自然体で操れる。強い印象を与えるタイプではないが、馴染みのいい操縦感覚である。

本国仕様のカタログスペックにおける最低地上高は170mm。

SUVとしては低めであり、フロントエアダム下面処理を見ても気合いを入れて悪路に臨むようなタイプではないが、AWDシステムにはオフロードモードも備わり、ハードコアなSUV派でなければ悪路踏破も十分だろう。

オン&ラフロードでプレミアムを楽しむには程よいバランスを備えている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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