【手入れは簡単?】電気自動車のメンテナンス 注意すべき点 ガソリン車より安い

公開 : 2021.05.16 18:05

EVならではの消耗の仕方

その他の部分は内燃機関車とほぼ同じであり、気をつけるべき点もよく似ている。

EVでは電気モーターの抵抗で減速させる回生ブレーキを使用しているため、ディスクやパッドの交換回数が比較的少ない。とはいえ、車両重量が増えると、ブレーキの効きも悪くなる。ブレーキフルードの交換は通常、2年ごとに行われる。

EV用バッテリーは非常に重く、動力性能や航続距離に影響するが、タイヤにも負荷をかける。
EV用バッテリーは非常に重く、動力性能や航続距離に影響するが、タイヤにも負荷をかける。

サスペンションやステアリング部品、タイヤの状態もチェックする。EVは質量が大きく、瞬時にトルクが発生するため、特にタイヤの摩耗率が高くなることが予想される。同クラスの内燃機関車より、こまめなチェックが必要だろう。

最後にエアコンの点検だが、ほとんどの場合、エアフィルターの交換で十分だ。冷媒レベルもチェックし、必要に応じて再充填する。

どこで整備してもらえるか?

EVは機械的には複雑ではないが、非常に高い電圧の電気システムを使用しているため、この部分の修理が必要な場合は専門家による対応が必要となる。現状では、正規のメインディーラーでのメンテナンスが最善の選択肢となっている。

通常、各ワークショップには、そのブランドの電動モデル整備のために特別なトレーニングを受けた整備士がいる。彼らは機械部品の知識だけでなく、正しい安全装置と服装を身につけている。

EVが増えるにつれ、整備業界も大きく変わっていくかもしれない。
EVが増えるにつれ、整備業界も大きく変わっていくかもしれない。

しかし、初期のEVの中には発売から10年が経過しているものもあり、EVを取り扱う専門工場の数も増えてきている。その多くは、最新の診断機器に加えて、リチウムイオンバッテリーの状態をチェックできるソフトウェアを備えている。

メンテを受ける頻度について

可動部品は少ないものの、通常、内燃機関車と同様のインターバルで点検を行う。ブレーキ、サスペンション、タイヤなどの安全に関わるアイテムは日頃のチェックが不可欠なので、プロの整備士による次の点検まで間隔を大きく空けるのは賢明ではない。

海外では、メーカーによって、時間と距離に応じてディーラーに持ち込むことを推奨している場合もある。例えば、日産リーフの場合、英国では1年に1回または1万8000マイル(約2万9000km)のどちらか早い方での点検が必要とされている。ポルシェタイカンの場合は、2年に1回、2万マイル(約3万2000km)だ。

最低でも1年に1度の点検を行うことで、愛車の寿命を延ばし、突然のトラブルも減らすことができる。
最低でも1年に1度の点検を行うことで、愛車の寿命を延ばし、突然のトラブルも減らすことができる。

BMW i3は、コンディションベースのサービスを採用しており、チェックが必要な時期を車載コンピュータが知らせてくれる。ただし、BMWは、サービスモニターでメンテナンスの必要がないと計算されている場合でも、少なくとも2年に1度は点検を受けることを推奨している。

日本では、内燃機関だろうとEVだろうと、2年に1回の車検(新車時は3年目が初回)を受けなければ公道を走ることができない。一方で、1年毎の法定点検を受けているドライバーはどれくらいいるのだろうか。

法律で義務付けられているとはいえ、車検とは異なり、受けなくてもペナルティーがない法定点検(12か月点検)を毎年受けているドライバーは決して多くない。その割合は、全体の15%とも30%とも言われており、媒体によって多少のバラつきはあるが、いずれにせよ半数近い(またはそれ以上の)ドライバーが1年毎の法定点検を受けていないと言えるだろう。

EVについては、「メンテナンスが比較的楽」ということをメーカーやディーラー側もメリットとして伝えている場合が多く(この記事も然り)、ドライバーの中には、なおさら点検に消極的になる人も一定の割合でいるのではないだろうか。しかし、ワイパーブレードなどの一般的な消耗品は内燃機関車と変わらないことや、先述したタイヤの消耗率などを考えると、やはり1年毎の法定点検は受けるべきだ。(そもそも法律で定められているのだが)

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