【脱ハスラーの兄貴分】スズキ・クロスビーがビッグマイナーチェンジ!コンパクトSUVの有力選択肢に

公開 : 2025.12.18 12:05

2017年に登場した根強い人気を誇るコンパクトSUV、『スズキ・クロスビー』がビッグマイナーチェンジ。300km以上を走った篠原政明がレポートします。新パワートレインとの相性もよさそうです。

独自の強みを保ちつつ、よりSUVらしいイメージに

スズキのコンパクトSUV『クロスビー』(XBEE)が2017年のデビュー以来、初のビッグマイナーチェンジを受けた。スズキのSUVというと、どうしてもジムニー(シエラやノマドを含む)に目が行きがちだが、よりクロスオーバー的なポジションのクロスビーも侮れない存在として注目されてきた。

ワゴンとSUVを融合させた新ジャンル『クロスオーバーワゴン』という謳い文句でクロスビーが登場した2017年当時に比べて、コンパクトSUV(全長4.3m未満)の市場は約5.4倍(2017年度:約4万4000台→2023年度:約23万9000台)へと拡大した。

スズキのコンパクトSUV『クロスビー』が初のビッグマイナーチェンジ。
スズキのコンパクトSUV『クロスビー』が初のビッグマイナーチェンジ。    平井大介

そんな市場におけるクロスビーは、スタイルや外観は高く評価されているものの、運転を楽にする機能や燃費の良さといった点の評価が低かった。また、カジュアルで可愛いというイメージはあるが、カッコいいというイメージもあまり持たれていなかった。

そこで今回のビッグマイナーチェンジでは、カジュアルで可愛いという独自の強みを保ちつつ、よりSUVらしいイメージに進化させた。

まずスタイリングでは、前後バンパーに車体色を追加し、水平基調のフードでフロントまわりに厚みを持たせ、ルーフエンドには大型リアスポイラーを装着し、SUVらしく力強いエクステリアに変身。ヘッドランプの形状やフロントグリルのデザインも変更し、顔つきはかなり凜々しくなった。

従来型では、どうしても『ハスラーの兄貴分』的なイメージが強かったが、新型では『弟とは違う、ボクはクロスビー!』と主張しているかのようだ。

新パワートレインとの相性は悪くない

インテリアも一新された。ダッシュボードには革を模したパネルとステッチの加工が施され、2段式のセンターコンソールや7インチのカラーメーターディスプレイなど、上質なイメージでまとめられている。

エクステリアの力強さを感じつつ、乗り込んでインテリアの上質さにも満足しながら、まずは走り出すことにしよう。

インテリアも一新され、上質なイメージでまとめられている。
インテリアも一新され、上質なイメージでまとめられている。    平井大介

パワートレインは、従来型の1L3気筒ターボから、スイフトなどで定評のある1.2L3気筒ノンターボに換装。組み合わされるトランスミッションも6速ATからCVTに変更され、燃費向上を図っている。なお、マイルドハイブリッドは継続して採用される。

正直に言って従来型の走りの印象は薄いのだが、新型の走りっぷりの印象は悪くない。試乗車はトップグレードの『ハイブリッドMZ』、そして駆動方式はFFだったが、1トンを切る軽い車体を軽快に加速させ、中速域ではモーターのアシストも感じられる。マニュアルモードはあるが無段変速のCVT、しかもレブカウンターの細かい表示はないので、100km/クルーズのエンジン回転数は2200rpmくらい。

今回の試乗では高速クルーズや街中での使用が中心でだが、普通に乗りまわしている限りハンドリングは悪くない。SUVゆえ目線も高く視界は良いし、コンパクトなサイズは狭い街中でもキビキビ走れる。

また、SUVらしくFFモデルでもグリップコントロールやヒルディセントコントロールも備わっているが、今回の試乗では試す機会はなかった。それでも、アウトドアレジャー好きには役に立つ装備だし、積雪地帯でなければFFでも問題ないかなと思わせてくれた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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