高度な技術と快適性を堪能 メルセデス・ベンツ C 300de ステーションワゴン(2) 期待へ応える逸品

公開 : 2025.12.17 18:10

EVを想定しない基本設計を持つ、W206型Cクラス プラグインHVは最高140km/hまで電気で走行可 上質な内装に好ましい運転姿勢 力強く高い洗練度のパワートレイン UK編集部が試乗

素晴らしい洗練度のハイブリッド

登場から5年目を迎える、W206型メルセデス・ベンツCクラス。欧州では、1.5Lガソリンターボから2.0Lディーゼルターボのプラグイン・ハイブリッドまで、多様な仕様を選べるのが魅力となっている。

今回試乗した、そのプラグイン・ハイブリッド、300deの車重は2248kgと軽くない。それでも、優れた動力性能とトラクションで、0-100km/h加速は6.3秒がうたわれる。

メルセデス・ベンツ C 300de ステーションワゴン(英国仕様)
メルセデス・ベンツ C 300de ステーションワゴン(英国仕様)

パワートレインの洗練度は素晴らしい。電気モーターが静かに発進させるだけでなく、4気筒エンジンの洗練度も驚くほど。スムーズに回り、豊かなトルクを生み出す。高域では息苦しさがにじみ、総合300馬力超えの勢いまでは感じられないが。

ちなみに、ガソリン・プラグイン・ハイブリッドの300eも印象的に力強い。動力性能では、6気筒ディーゼルエンジンのトルク感に迫る勢いだろう。レスポンスに優れ、上質さにも唸らされる。メルセデス・ベンツが、4気筒で充分だと考えたこともうなずける。

好ましい操縦性に優しい乗り心地

通常のCクラスは、スポーツサルーン/ワゴンが目指されたわけではないが、操縦性は好ましい。快適性と姿勢制御のバランスに優れ、濡れて滑りやすい路面でも、高いグリップ力で狙い通りに導いていける。

回頭性はシャープではなく、徐々に旋回していくタイプ。ヘアピンカーブでは、シャシーの能力の高さを裏付けるように、軽くない車重を巧妙に受け止める。後輪駆動らしい操縦性を存分に楽しめるわけではないが、安定感が高く軽快に操れる。

メルセデス・ベンツ C 300de ステーションワゴン(英国仕様)
メルセデス・ベンツ C 300de ステーションワゴン(英国仕様)

ステアリングは、かなり軽め。フィルターが掛かったように、手のひらへ伝わる感触は多くない。ブレーキペダルの踏み心地も同様といえる。

乗り心地は優しい。起伏の多い郊外の道や高速道路を飛ばしても、浮遊感は高まらず、フラットにボディは保たれる。特にプラグイン・ハイブリッドは、快適性重視。積極的にカーブへ飛び込めば、僅かにボディはロールするが、不安定になることはない。

概ね平静な高速域 良好な巡航燃費

限界領域まで気張ると、フロントタイヤが堪えきれず外へ流れる。荷室下に載る駆動用バッテリーの重量を考えると、望ましい挙動といえる。スタビリティ・コントロールの介入は控えめで、安定性の高さを伺わせる。

高速域でのロードノイズは小さめ。アスファルトが荒れた区間では、反響音が僅かに増すものの、概ね平静。リラックスして長距離移動できるはず。燃費は、高速道路を巡航させた300deで、駆動用バッテリーの充電量が乏しくても17.5km/Lを超えていた。

メルセデス・ベンツ C 300de ステーションワゴン(英国仕様)
メルセデス・ベンツ C 300de ステーションワゴン(英国仕様)

運転支援システムは、衝突被害軽減ブレーキにアクティブ車線維持支援、ブラインドスポット・モニターなどが標準。いずれも、運転を妨げることなく機能していた。

歩行者にも対応した衝突被害軽減ブレーキや、制限速度に対応したアダプティブ・クルーズコントロールなど、更に高度なシステムはオプション。お安くはない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

メルセデス・ベンツ C 300de ステーションワゴンの前後関係

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