期待の洗練度や性能か? マツダCX-80 PHEV(2) 好ましい操縦性 UK編が評価へ悩むワケ

公開 : 2025.12.18 18:10

CX-60の3列シート版、全長4990mmのCX-80 プレミアムな内装 操作性へ配慮された車載機能 乗り心地は改善 期待される洗練度や性能に達せず? UK編集部がPHEV版へ試乗

期待される洗練度や性能に達せず?

マツダのフラッグシップSUV、CX-80。高効率で力強い3.3L直列6気筒ディーゼルターボも選べるが、英国では2.5L 4気筒ガソリンエンジンのプラグイン・ハイブリッドの方が、税制的に主力になるはず。

ただし、同社のハイブリッド技術は歴史が浅い。ラグジュアリー志向の大型SUVとして、期待される洗練度や性能には達していないかもしれない。

マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブ PHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブ PHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)

エンジンはノイズが若干荒っぽく、細かな振動も伝わってくる。駆動用モーターの唸りも、キャビンへ届く。動力性能に不足はないものの、豊かなトルクを得るには回転数を引っ張る必要がある。8速ATも、よりスムーズさを高めることはできるだろう。

ちなみに、3.3Lディーゼルは遥かに好印象。最大トルクは56.0kg-mあり、大きなボディを安楽に運んでくれる。BMWメルセデス・ベンツの同等ユニットへ上質感では届かなくても、燃費に優れたくましい。8速ATとの相性も良いようだ。

乗り心地は改善 でも落ち着きにくい

CX-60では乗り心地が今ひとつといえたが、CX-80では改善。リアサスペンションからアンチロールバーを省き、スプリングをソフトに振り、ストロークは長くなった。またサブフレームのブッシュも変更。フロントのウイッシュボーンは、再設計されている。

確かに良くなったといえるものの、グレートブリテン島のアスファルトでは、やはり落ち着きにくい。滑らかな路面なら穏やかにボディは制御され、カーブでのロールも小さく、路面からの隔離性に優れるのだが。

マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブ PHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブ PHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)

ステアリングは正確で、大きなボディでありながら一体感を抱きやすい。後輪駆動らしい、操縦性のバランスも好ましい。ステアリングホイールには接地感が伝わり、サスペンションの負荷状況すら感じ取れる。より快適性が高ければ、と思ってしまう。

競合との競争力で勝るとはいいにくい

EVモードでは、カタログ値で61kmを電気だけで走れると主張される。しかし、実際に試乗したところ約48kmという結果で、期待より短め。燃費は、駆動用バッテリーの充電が乏しい状態では、11.0km/Lを僅かに超える程度のようだ。

CX-80の牽引能力は、最大2500kgまで。バックカメラには、トレーラーヒッチビュー機能が備わり、バックでつなぐ際の位置決めがしやすい。

マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブ PHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブ PHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)

英国でのライバルは、ヒョンデ・サンタフェやプジョー5008など。プラグイン・ハイブリッドの能力や価格で比較すると、競争力でCX-80が勝るとはいいにくいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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