ツーリング・スーパーレジェッラ・ディスコ・ボランテ

公開 : 2014.02.25 21:40  更新 : 2015.06.17 10:03

ショールームを訪れるユーザーの中には、そのプライス・タグに見向きもしない特別なユーザーがいる。ジャガーやフェラーリ、ベントレーやマクラーレンといった一部のメーカーは、そういった顧客のためのスペシャル・プログラムを用意している。しかし、更にその上をいいく特別なユーザーは、その金額の問題でなく、ハンドクラフトされるスペシャル・モデルを望んでいる。そういった顧客の要望に応えるために、ベルトーネ、ピニンファリーナ、ツーリング・スーパーレジェッラといった小さなカロッツェリアが活躍することになる。

「多くの人々が大量生産される一般的なプロダクション・モデルに飽きている。」とミラノのコーチビルダー、ツーリング・スーパーレジェッラのチーフ・エグゼクティブ、ピエロ・マンカルディは語る。「そして、われわれはそういった顧客に応える準備ができている。」と。

もし、あなたの財布が充分であるならば、ツーリング・スーパーレジェッラの美しいデザインとエンジニアリングを持ったハイエンドの特別仕立てのクルマを手にすることができる。そして、その最新作が、このアルファ・ロメオ8Cをベースとしたディスコ・ボランテなのだ。

僅かに8台だけが生産されることになっている。価格? それは、オーダーした者のみに教えられることになっている。

アルファ・ロメオ8Cの444bhpを発揮する4.7ℓのV8を搭載したボディは、アルミニウムとカーボンファイバーによって形作られる。その造作は、ハンドビルドの素晴らしい仕事としかいいようがない。

ツーリングの歴史は1926年に始まる。スーパーレジェッラのボディ構造がパテントを取得したことに端を発する。それは非常に軽量でフレシキブルな構造だった。そして、自動車史に名を残す名車を生み出してきた。

アストン・マーティンDB5。そのニューポート・パグネル製のボディにも、その前のDB4や後のDB6にもツーリングの文字が見られるはずだ。

また、最初のランボルギーニである1963年の350GTもツーリング製だった。更に、フェラーリも166や195、212といったモデルをベースとしたロードゴーイング・モデルをオーダーした。また、マセラティ、ランチア、アルファ・ロメオ、ジャンセン・インターセプターと言ったモデルもツーリングのボディを架装された。しかし、ボディが社内製作されることが多くなるに従い、ツーリングは1966年に解散した。その後40年にわたり、会社はほとんど休眠中だった。

ツーリングは、マセラティ・クアトロポルテをベラッジオとネーミングされたファストバックに改造することや、ベントレー・コンチネンタルGTをフライング・スターとネーミングされたエステートに改造することを細々と行ってきた。

しかし、完全にオリジナルのモデル、ディスコ・ボランテで復活を遂げたのである。このディスコ・ボランテは2012年のジュネーブ・モーターショーで発表されたコンセプト・モデルそのものであるのだ。

私がミラノ郊外のツーリングの工場を尋ねると、既に8台の内2台は完成しており、1台は製作中。そしてもう1台はほぼフィニッシュの状態にあった。

ツーリングは1952年にデビューしたアルファ・ロメオC52ディスコ・ボランテをリスペクトしたモデルである。

「あなたがアルファ・ロメオ博物館を尋ねればわかる通り、そのうち半分はツーリングのボディが架装されてます。」と新しいディスコ・ボランテのクリエーター、ルイス・デ・ファブリベッカーは語った。

今回、最初にディスコ・ボランテのステアリングを握ったのは、私のイタリアの友人だった。

スタンダードなアルファ・ロメオ8Cが90%がスポーティに、そして10%が快適性にチューンされているのに対し、ディスコ・ボランテは異なる方向のチューニングがされていた。私が8Cをドライブした記憶から比べると、それよりも速いスピードでありながら、その乗り心地は驚くほど快適であった。

しかし、トランスミッション・トンネルに付けられたスポーツ・ボタン押し、フルスロットルを与えると一変する。エンジンは4000rpmを超えると甲高いサウンドを奏でる。それは叙情的なシーンですらあった。

そして、遂に私にキーが渡された。しかし、ツーリングの人間以外、シンガポール在住のオーナーですらこのクルマを運転したことはない。おそらく7桁の£となるその価格を考えると、充分なインプレッションが出来なかったことを許して欲しい。ミラノの郊外の道でも100km/hを超えるような機会はなかった。しかし、このクルマが生命の息吹を持ったクルマであることは直ぐに分かった。コーナーを曲がる度にワクワクとした思いでドライブしたのだった。

しかし、その時間はそう長くはなかった。シンガポールの紳士から呼び出しを受ける前に、キーを返却することにした。

ディスコ・ボランテにはフェラーリ458にはない輝きがある。そして、それは、クリエーションの結果である。メインストリームのスーパーカーにない物を求めるスーパー富裕層のためのクルマであろう。フェラーリがフォード・フィエスタと同じぐらい一般的に感じる人々には、こんなに素晴らしい世界が待っているのだ。

(マーク・ティショー)

ツーリング・スーパーレジェッラ・ディスコ・ボランテ

価格 NA
最高速度 290km/h
0-100km/h加速 4.4秒
燃費 NA
CO2排出量 NA
乾燥重量 1505kg
エンジン V型8気筒4.7ℓ
最高出力 444bhp
最大トルク NA
ギアボックス 6速マニュアル
 
最新試乗記