【長所を伸ばし100kg減】アルファ・ロメオ・ジュリアGTAmへ試乗 公道でも気持イイ 前編

公開 : 2021.08.17 08:25

500台限定でアルファ・ロメオに復活したGTAの3文字。最高のスーパーサルーンが、更にスーパーに仕立てられていると、英国編集部は絶賛します。

2.9L V6ツインターボは30ps増しで540ps

text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アルファ・ロメオジュリア・クアドリフォリオで褒めるべき1つが、舗装の古い路面でも、流れるように走ること。英国編集部きってのお気に入りでもある出色のスポーツサルーンは、巧みなハンドリングに、柔軟な乗り心地を兼ね備えている。

今回試乗した限定仕様のジュリアGTAは、一層高いパフォーマンスやドライバーとの一体感を求めていながら、その長所もしっかり維持している。英国では初めての試乗となったが、とてもうれしい事実だ。

アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)

ジュリアGTAは、BMWでいえばM4のGTS、ジャガーでいえばXEのプロジェクト8に相当するモデル。平滑なサーキットの方を間違いなく向いていることを考えれば、驚くべき事実でもある。

さらなるチューニングを受けたスーパーサルーン、GTAには、一層ハードコアに仕立てられたGTAmも用意される。両車を合わせて全世界500台の限定生産となり、今のところほぼ半々の割合でGTAとGTAmが選ばれているという。

価格は安くない。イタリアでの価格は、GTAで17万6500ユーロ(2294万円)、GTAmは18万1500ユーロ(2359万円)とアナウンスされている。

内容は、今どきの表現を使うなら、かなりエクストリーム。2台ともに共通してフロントに搭載されるのは、ジュリア・クアドリフォリオより強力な、90度のバンク角を持つ2.9L V6ツインターボだ。

最高出力は30ps増しの540psに達する。最大トルクは変わらず、といっても不足ない61.1kg-mを得ている。トランスミッションは8速ATで、後輪駆動となる。

GTAmではロールケージに6点ハーネスも

車重は要所要所で削られた。GTAも共通で、ボンネットとルーフ、フロントフェンダーは軽量なカーボンファイバー製に置き換えられる。さらにGTAmには過激なメニューが施されている。一部のドライバーのことも考えて、GTAとは区別されたのだろう。

リアシートが省かれ、リアのサイドガラスは固定式に。後ろ側は、ドアの内張りもなくなっている。車内にはロールケージが張り巡らされ、背もたれが固定式のサベルト社製カーボン・バケットシートが2脚据えられる。6点式のハーネスも付く。

アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)

リアドアのボディパネルと、運転席より後ろの窓3面は、軽い樹脂製。リアシートの跡地には、ヘルメットを2つ運べるくぼみと、ネットが用意される。その中間には、銀色に光る消化器用のスペースが作られている。

ドアハンドルも布製のベルトに置き換えられ、車内はかなりレーシー。それでいて、荷室とコクピットを仕切る内張りは、アルカンターラで贅沢に仕立ててある。

ジュリアGTAmの車重は、クアドリフォリオ比で最大100kg軽いという。そのクアドリフォリオの車重はカタログ値で1580kgだが、AUTOCARでガソリンを積めて計測したところ、1700kgあった。恐らく、ジュリアGTAmの車重は1600kg前後だろう。

賢明に思えるのが、GTAmであっても、エアコンとインフォテインメント・システムが残されていること。確かに、これらを省けば一層軽くなる。企画会議の中では、妥協のないクルマに仕立てるうえで、悪くないアイデアに聞こえるかもしれないが。

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