CO2排出量を9割削減 「ドロップイン燃料」がエンジンを救う? 欧州で関心高まるHVO

公開 : 2026.02.10 07:05

欧州では迅速にCO2排出量を減らす手段として、既存エンジン向けの「ドロップイン燃料」への関心が高まっています。中でも注目されているのがHVO(水素化植物油)で、従来の軽油と同じように使用できるとされています。

従来の軽油と同じように使えるHVO

自動車の温室効果ガスに関する議論が本格化し始めた頃、CO2排出量を最も迅速に削減する方法はパワートレインではなく、燃料を変えることだとよく言われた。

新型車を一から開発するには数年を要する。さらに内燃機関に代わる最良のパワートレインを決めることにも時間がかかるため、移行期間は数十年単位に及ぶ。

欧州では持続可能なドロップイン燃料への関心が高まっている。
欧州では持続可能なドロップイン燃料への関心が高まっている。

ガソリンや軽油にバイオ燃料を混合するという一定の進展は見られたが、化石燃料の使用率は依然として高い。しかし今、100%化石燃料フリーの燃料開発への関心が高まっている。

これらの燃料は既存のエンジンに悪影響を与えず、改造不要でそのまま使用できることから「ドロップイン燃料」と呼ばれ、多くの主要自動車メーカーが自社車両での使用を認めている。

最も注目すべき燃料の1つがHVO100(HVOは水素化植物油のこと)だ。リニューアブルディーゼル(RD)とも呼ばれ、従来の化石ベースの軽油と同様の炭化水素燃料である。

バイオディーゼルとはまったくの別物だ。再生可能原料から作られる点は同じだが、バイオディーゼルは脂肪酸メチルエステル(FAME)を原料とするため互換性が低い。例えば、英国では燃料への混合比率が比較的低く、通常7%程度に抑えられている。

燃料を変えるだけでCO2を大幅削減?

昨年、ステランティスは自社の全ディーゼルエンジンがHVOの使用に対応していることを試験で確認し、ユーロ5およびユーロ6規格の多くのエンジンが互換性を持つと発表した。

10月には、BMWが欧州向けにカーボンニュートラル燃料とEVの併用でCO2排出量を削減する方法を示した。これも本稿の冒頭で述べたように、燃料を変えることのメリットを打ち出したものだ。

BMWなど多くのメーカーがHVO対応エンジンを展開している。
BMWなど多くのメーカーがHVO対応エンジンを展開している。

欧州には2億5000万台の車両が走っており、再生可能燃料の使用比率を高めれば、CO2排出量を急速に改善できる可能性があるのだ。

今年1月より、ドイツで生産されるBMWの全ディーゼル車には、ディーラー納品前にHVO100が5~8L(車種により異なる)充填されている。

BMWが使用するこの燃料はフィンランドのネステMY社が生産しており、ウェル・トゥ・ホイール(油井から車輪まで)基準で従来の軽油と比較してCO2排出量を90%削減できるという。ウェル・トゥ・ホイールでは、燃料の燃焼による排出量だけでなく、原材料の採掘と生産、燃料精製、輸送などに伴う温室効果ガス排出量も考慮に入れる。

BMWは2020年3月以降に生産されたすべてのディーゼル乗用車について、HVO100の使用を承認している。他の多くのメーカーもディーゼル車での使用を認めているが、BMWと同様、生産時期が1つの条件となっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェシ・クロス

    Jesse Crosse

    役職:技術編集者
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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