【ドイツ御三家撤退】メルセデス・ベンツ フォーミュラE撤退を発表 EV開発に注力

公開 : 2021.08.20 18:05

EVレースの最高峰、フォーミュラEからメルセデスが撤退。市販EVの開発に注力するとのこと。F1は継続。

市販車開発にリソースを集中

text:James Attwood(ジェームズ・アトウッド)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

メルセデス・ベンツは、市販EVの開発強化にリソースを集中させる必要があるとして、来シーズン限りでABBフォーミュラE世界選手権から撤退することを発表した。

メルセデスEQチームは先日、ベルリンで開催された2020/2021年シーズン最終戦でドライバーとチームのタイトルを獲得したばかりだ。オランダ人レーサーのニック・デ・フリースがドライバーズタイトルを獲得し、メーカーズタイトルではメルセデスがジャガーを引き離した。

メルセデスEQのフォーミュラEマシン
メルセデスEQのフォーミュラEマシン

メルセデスは来たる2021/2022年シーズンに参戦することを約束しているが、これを最後に「チームエントリーおよびメーカーとして」撤退する予定だ。

メルセデス・ベンツは、2030年までに一部市場でラインナップをEVに切り替えることを受けて、フォーミュラEからの撤退を決定したと述べている。

「この加速的な電動化のために、リソースをシフトすることに決めた」とし、3つのEVプラットフォームをはじめとするEV開発に注力する姿勢を示しつつ、「フォーミュラEで得た教訓を量産車に反映させる」とも述べている。

市販EVの開発に注力する一方で、大成功を収めているメルセデスAMGのF1は継続される。これについては、「持続可能でスケーラブルな未来のパフォーマンス技術を開発・実証するための最速の実験室としての役割を強化する」としている。

次期オーナーはトト・ウォルフ?

メルセデス・ベンツ・カーズのCOOであるマーカス・シェーファーは、次のように話している。

「わたし達は、この10年間で気候変動に全力で取り組むことを約束します。そのためには、排出ガスを出さない、ソフトウェア主導の未来に向けて、会社、製品、サービスの変革を加速させることが必要であり、コアとなる活動に全力で取り組まなければなりません」

チーム買収の可能性があるトト・ウォルフ
チーム買収の可能性があるトト・ウォルフ

「モータースポーツの分野では、フォーミュラEは当社の専門性を証明し、メルセデスEQブランドを確立するための良いドライバーとなりましたが、今後はF1に焦点を当てて、特に電気駆動の面で技術的進歩を推し進めていきます」

「F1は、自動車業界で最も厳しいレースで当社の技術をテストする場です。スリーポインテッドスターは他では見られない輝きを放っています」

「ビジョンEQXXなど現在進行中のプロジェクトに見られるように、F1は技術移転の可能性を秘めています。わたし達のチームとシリーズ全体で、10年後までに排出量ゼロを達成する予定です」

メルセデスのフォーミュラEチームは、来シーズン以降もレースに参戦し続けるため、新しいオーナーへの売却も検討されている。報道では、F1チームの3分の1を所有しているトト・ウォルフが同チームを買収し、プライベーターチームとして運営する可能性が示唆されている。

メルセデスは、第5シーズンの2018/2019年に初めてフォーミュラEに参入し、プライベーターのHWAレースラボにパワートレインを供給した。同チームは、2019/2020年シーズンには完全なメルセデスEQワークスチームに成長し、その年のシーズンフィナーレでストフェル・ヴァンドールが初優勝を飾った。今シーズンは3つのレースで勝利を収めている。

メルセデス・ベンツの撤退により、アウディBMWと並ぶ「ドイツ御三家」がフォーミュラEから身を引くことになる。アウディとBMWは、他のモータースポーツに専念するためにフォーミュラEから撤退し、ル・マン耐久レースへの復帰を表明している。

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