【ホンダの誤算?】なぜNSX、生産終了に追い込まれたのか 廃止早めたマーケティング

公開 : 2021.08.30 12:20  更新 : 2021.10.22 10:07

最終型の割当もわずか どこか国内軽視

そこまで分かっているのに、NSXタイプSの販売規模は、全世界で350台、日本は30台だ。

日本の割り当ては、9%と相変わらず少ない。

アキュラNSX(先代)
アキュラNSX(先代)

NSXパフォーマンスディーラーでは、タイプSの販売について、次のように述べた。

「タイプSは、すべてのNSXパフォーマンスディーラーが販売できるわけではない。国内の販売規模が30台に限られるから、メーカーがタイプSを扱えるパフォーマンスディーラーを選定している」

「タイプSは最終型のNSXとあって、購入を希望するお客さまは多いが、当店はメーカーから指定されていないから販売できない。申し訳ないが断わっている」という。

タイプSはNSXの最終型だから、2021年9月末日という具合に期限を決めて顧客を募り、相応の予約金を納めてくれたら責任を持って販売すべきだ。

NSXが日本のユーザーを冷遇せずに割り当て台数を増やしていたら、2558台しか生産できずに失敗するのを防げたかも知れない。

ホンダは海外、国内を問わず、市場をしっかりと見るべきだ。

NSXに限らず、軽自動車のNボックスまで含めて、今のホンダはメーカーの都合を優先させることが多い。

そのためにNSXも短命で終わることになった。これではNSXの廃止について、ユーザーの共感を得ることはできない。

今のホンダには顧客目線が欠けており、それを取り戻すには、販売店との対話が不可欠だ。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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