【0-100km/h加速3.0秒】メルセデスAMG GLE 63 Sへ試乗 612ps 強く優しいSUV

公開 : 2021.10.07 08:25

メルセデスAMGのGLEに、612psの強心臓を獲得した63 Sが登場。非現実的なほど幅広い能力に、英国編集部も強く印象付けられたようです。

獰猛な牙を見事に包み隠す穏やかさ

執筆:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
メルセデスAMGは、高性能SUVの人気を積極的に受け入れ、モデル展開を進めてきた。コンパクトなGLAからトップレンジのGクラスに至るまで、幅広い加熱メニューでホットな仕様を用意している。

大柄なボディを持つGLEにも、メルセデスAMGは着手済み。マイルド・ハイブリッドとターボチャージャーが組まれた3.0L直列6気筒エンジンを搭載し、435psを発揮する53をラインナップする。

メルセデスAMG GLE 63 S 4マティック+(英国仕様)
メルセデスAMG GLE 63 S 4マティック+(英国仕様)

しかし、アウディRS Q8やBMW X5 Mコンペティション、ポルシェカイエン・ターボなど、競争力の高いモデルが次々に登場。アストン マーティンDBXをリリースし、ベントレーベンテイガにもスピードが追加されている。

技術者集団のメルセデスAMGは、今以上のGLEが必要だと感じたのだろう。さらにパワフルな、GLE 63 Sの登場と相成った。

大きなSUVにスーパーカー級の馬力を発揮するエンジンを載せたと聞けば、穏やかではないモデルを想像するだろう。サスペンションは硬く、リラックスした運転は難しいと思うはず。

しかし実際は、獰猛な牙を見事に包み隠すように、静かで滑らか。ふんだんに搭載されたセンサー類と運転支援システムのおかげで、狭い路地でも驚くほど運転しやすい。

優しいドライビング体験に満足していると、アッファルターバッハの技術者が生み出したSUVだということを忘れてしまいそうになる。気を取り戻してアクセルペダルへ少し力を込めれば、AMG謹製の4.0LツインターボV8エンジンの片鱗が見えてくる。

最高出力612ps、最大トルク86.5kg-m

このユニットは、メルセデスAMGのモデルで63の番号が付く、トップグレードの多くに搭載されているもの。だが約2.5tの質量を賄うために、さらに22psの電気モーターがアシストする。

GLE 63 Sの最高出力は612ps、最大トルクは86.5kg-mを発揮。その結果、0-100km/h加速は驚くべき3.0秒を達成している。スーパーカーでも速いと表現できる数字だが、大きなラグジュアリーSUVなのだから、あ然としてしまう。

メルセデスAMG GLE 63 S 4マティック+(英国仕様)
メルセデスAMG GLE 63 S 4マティック+(英国仕様)

現実的な道路環境では、ドライビングモードをスポーツ+にせずとも、たくましいV8エンジンのおかげで極めて安楽。一切の苦労を感じないまま、高速道路の追い越し車線にも合流できる。

強大なトルクのおかげで、質量の大きなボディの速度を維持することも容易。ドライバーが、気を揉むことはほぼないはず。

AMGによってチューニングされたエアサスペンションとアダプティブダンパーは、積極的なドライビングモードを選択しない限り柔軟な乗り心地を与えてくれる。コンポジット素材の高性能ブレーキとアンチロール・サスペンションも、コーナリングで頼もしい。

大きく重いGLEのボディを、AMGは巧みに包み隠すことへ成功している。しかし、実際の道路環境を広げられるわけではない。特に英国のタイトコーナーの続くような区間では、その事実を実感させられる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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