高性能版『グランデ・パンダ』登場? アバルトがガソリンエンジン復活を検討中 「改造できない」EVは苦戦

公開 : 2026.03.17 07:25

EVの販売不振を受け、アバルトは内燃機関モデルの再導入を検討しています。その第1弾はフィアット・グランデ・パンダの高性能バージョンとなる可能性も。幹部らは「アバルトの伝統を別の形で活用していく」と語りました。

EV計画見直しの可能性

フィアットの『グランデ・パンダ』から、高性能なアバルトの派生モデルが誕生する見込みだ。これに伴い、アバルトが内燃機関への回帰を果たす可能性もある。

アバルトの欧州向けラインナップには、小型車『500』とクロスオーバー『600』の高性能バージョンという2車種しかないが、いずれもEVのみだ。

フィアット・グランデ・パンダ
フィアット・グランデ・パンダ

しかし、両モデルとも販売面で苦戦している。ブランド初のクロスオーバーモデル投入によりターゲットとなる顧客層を広げたにもかかわらず、例えば昨年の英国での販売台数はわずか291台にとどまった。これは、内燃機関搭載の『595』がまだ販売されていた2024年の1027台から大幅な減少となる。

フィアットもまた、EV需要の低迷に対応するため、当初はEV専用として設計された新型500のプラットフォームを改良し、ハイブリッドパワートレインに適応させた。一方、昨年登場したグランデ・パンダは、ステランティスが共有するコスト重視のスマートカー・プラットフォームを採用しており、市場に応じて純ガソリン、EV、ハイブリッドの各パワートレインが用意されている。

開発はもう始まっている?

フィアットは成長戦略の一環として、パンダ派生モデルのラインナップ拡充を目指している。アバルトにとっても、これは新たな分野に参入する好機となり得る。

ただし、AUTOCARの情報筋によると、同社はすでにグランデ・パンダの高性能バージョンの開発に着手しているものの、量産化の正式な承認はまだ得られていないという。

フィアット・グランデ・パンダ
フィアット・グランデ・パンダ

アバルトおよびフィアットの欧州部門責任者ガエターノ・トレル氏はAUTOCARの取材で、高性能版グランデ・パンダに関する見通しについて問われた際、「確かにわたし達はアバルトの伝統を別の形で活用していくつもりです。現時点で言えるのはそれだけです」と語った。

このモデルのデザインコンセプトはすでに策定済みとみられるが、どのようなパワートレインを採用するかについては具体的な情報はない。スマートカー・プラットフォームを採用するモデル(シトロエンC3など)には、これまで高性能バージョンは存在しなかった。しかし、構造的には、今年後半にGTiモデルが投入予定の次期プジョー208などに採用されているSTLAスモール・プラットフォームと類似しており、より強力なパワートレインを搭載できる可能性はある。

愛好家が求めるアバルトとは

フィアットは昨年、グランデ・パンダ4×4のコンセプトカーを公開した。そのパワートレインの詳細は明らかにされていないものの、アバルトの幹部らは「電動化された革新的なリアアクスル」を搭載すると示唆している。フロントの内燃機関に加え、リアにも小型の電気モーターを搭載する可能性が高く、アバルトに求められる高い走行性能も実現できるかもしれない。

トレル氏、そしてフィアット兼アバルトのCEOであるオリヴィエ・フランソワ氏の両名は、顧客からの需要があるため、アバルトの内燃機関搭載モデルの再導入を検討していることを率直に認めた。

フィアット・グランデ・パンダ4×4コンセプト
フィアット・グランデ・パンダ4×4コンセプト    フィアット

フランソワ氏はAUTOCARに対し、「高い性能を実現するという点では、EVが最善の選択肢です。しかし、アバルトのお客様はエンジン音や純粋なドライビング・エクスペリエンスも求めており、わたし達はそうしたお客様のニーズを満たす方法を模索しています」と語った。

さらにトレル氏は次のように付け加えた。「アバルト愛好家と話すと、アバルトは単なるパフォーマンスブランドにとどまらず、常にチューニングブランドであったことがよくわかります。過去にアバルトを購入した人々は、エンジンをいじって改良するのを好んでいました。しかし、EVではそれができません」

「EVのアバルトは超高性能車ですが、アバルティスタ(アバルト乗り)はそれらに触れることも、手を加えることもできません。そこでわたし達は、再び内燃機関を搭載したアバルトを作ることを検討しているところですが、ふさわしいDNAを与えられる場合に限ります。技術的に可能であり、わたし達にその能力があるのであれば、実現するつもりです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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