世界で最も奇抜なクルマ 48選 前編 「変わり者」のレッテルを貼られた名車・珍車

公開 : 2021.11.20 06:05

見た目やコンセプトの奇抜さゆえに「変わり者」と呼ばれるクルマをご紹介。フェチを刺激するクルマもあるかも?

偉大なる「はなつまみ者」への賛歌

ときおり、「最近のクルマはどれも同じに見える」という嘆きが聞こえてくる。

「最近の若者はなっとらん!」と同じように何十年も前から言われていることだが、決して正しいことではない。流行り廃りはもちろんあるが、どんなに大きなメーカーでも、わたし達を楽しませるため、たまには奇抜なものを出さずにはいられないのだ。

その斬新さが世の中を変えることもあれば、鼻をつままれてしまうようなこともある。
その斬新さが世の中を変えることもあれば、鼻をつままれてしまうようなこともある。

この記事では数百種類に及ぶモデルを紹介することもできたが、その中からなんとか48種類に絞り、前後編に分けてアルファベット順に紹介したい。

他者と違うことに挑戦する姿勢は尊いもので、まったく新しいジャンルを切り拓くこともあるが、非情なことに必ずしも成功するとは限らない。自動車業界における「変わり者」は偉大なる挑戦者であると同時に、一部の人々に愛されてやまない名車である。

アルファ・ロメオSZ

アルファ・ロメオには、美しいクルマを作るという長い伝統がある。しかし、1989年から1991年にかけて短期間だけ生産されたスポーツカー、SZは例外だった。角ばったセダンの75をベースにしたこのモデルは、独特の野獣のような外観を持ち、イタリア語で「怪物」を意味する「イル・モストロ」という愛称で呼ばれていた。

アルファはこのモデルの製造を中止したが、翌年にはコンバーチブルの「RZ」を発表している。

アルファ・ロメオSZ
アルファ・ロメオSZ

AMCペーサー

1970年代、米国のビッグ3(GM、クライスラーフォード)と並ぶAMCが、ペーサーのようなクルマを開発するなんて、とてもではないが考えられなかった。当時としては異例なほど背が低く、ガラス面積が多いために視認性に優れていた。

しかし、重くて経済的ではなく、その外観も万人受けするものではなかった。人気がなかったため、1975年から1980年の間しか生産されなかった。

AMCペーサー
AMCペーサー

アストン マーティンシグネット

後にも先にも、このようなアストン マーティンは存在しないだろう。トヨタ/サイオンのiQに派手なグリルを付け、スタイリングや装備を大幅にアップグレードしただけのモデル。ベースのiQよりもはるかに高価なシグネットは、フルサイズのアストンを買えるような人々のためのコンパクトカーという意味合いを持っていた。

しかし、販売目標には遠く及ばず、わずか2年で生産中止となった。生産台数が少なかったこともあり、中古車価格は新車時よりも高くなっている。

アストン マーティン・シグネット
アストン マーティン・シグネット

アウディA2

アルミボディのA2は、軽量で燃費が良いため、走るのは安くても買うのは非常に高価だった。2001年に十分なオプションを選んだ場合、現在のお金では約3万ポンド(約460万円)を費やすことになる。

また、アウディはA2のメンテナンスを難しくしていた。オイルをチェックしたり、ウォッシャーボトルを補充したりすることはできたが、それだけだった。スパークプラグの交換はディーラーの仕事である。

アウディA2
アウディA2

また、騒音が大きいことや、2分割された複雑なリアウィンドウからの視界が悪いことも問題であった。売れ行きは低調で、生産期間は2000年から2005年までしかなかった。しかし、海外ではモダンクラシックとして再評価されつつあある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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