フォルクスワーゲンID. 6 Xへ試乗 7シーター版ID. 4が欧州へ 306psの四輪駆動

公開 : 2021.12.22 08:25

ID. 4を延長した7シーターのID. 6。欧州導入が予定される新モデルを、英国編集部が評価しました。

欧州でも提供される純EV7シーター

今回試乗した、どこか見慣れたクルマはフォルクスワーゲンID. 6。中国専用モデルだと考えられてきたが、フォルクスワーゲンの純EVサブブランド内での位置付けが見直されているようだ。最近の情報では、欧州でも提供されるという。

このID. 6は、基本的にはID. 4のホイールベースを伸ばしたクロスオーバー。フォルクスワーゲンの純EVとしては最大のモデルで、7シーター・レイアウトが可能になっている。

フォルクスワーゲンID. 6 X プライム(中国仕様)
フォルクスワーゲンID. 6 X プライム(中国仕様)

ID. 4と比較すると、全長は約300mm伸び、全高は約70mm大きい。見た目では、サイドウインドウのリア側が伸ばされていることがわかりやすい違い。トランクリッドの中央には、ID. 6とエンブレムが貼られる。

AUTOCARが中国で試乗したのは、ID. 6 Xと呼ばれるモデル。同じ内容ながら、少し見た目に変化が与えられたID. 6 クロスという別バージョンも存在する。

どちらも中国仕様の場合、製造するのはフォルクスワーゲンと中国メーカーとの合弁企業。SAICフォルクスワーゲンは上海でID. 6 Xを、一汽フォルクスワーゲンは仏山でID. 6 クロスを担当するという。

パワートレインの構成には4種類がある。 58kWhか77kWhの容量の駆動用バッテリーを搭載し、最高出力179psか203psを選べる後輪駆動が3種類。さらに、77kWhのバッテリーと前後2基の駆動用モーターで総合306psを発揮する、四輪駆動が頂点を飾る。

試乗車は四輪駆動の306ps版。欧州仕様の航続距離は発表されていないものの、ID. 4 GTXの479kmより僅かに短くなるだろう。

トゥアレグ級に広い車内

ID. 6 Xで感じるID. 4での既視感は、シンプルなデザインのインテリアでも共通。5.3インチのモニター式メーターパネルと、12.0インチのインフォテインメント用タッチモニターも、ID. 4と同じものだ。

エアコンなど車内の機能は、主にタッチモニターとタッチセンサーで操作する。ID. 4でも同様ながら、ドライブモードの選択時などは少々反応が過敏な印象。インターフェイス・デザインも、まだ改善の余地はあると思う。

フォルクスワーゲンID. 6 X プライム(中国仕様)
フォルクスワーゲンID. 6 X プライム(中国仕様)

試乗車がプライムというトップ・トリムグレードだったこともあり、内装の素材は上質。シートにはキルト風のステッチが施され、パネル類の触れられる部分は、多くがソフト加工されていた。

ただし、ダッシュボード中央にあしらわれたテクスチャー付きのプラステイック製トリムは、少し安っぽい印象も受ける。目線を下ろせば、硬質なプラスティック・パーツもふんだんに使われている。

ID. 4から全長が伸ばされただけあって、車内空間はID. 6 Xのストロングポイント。トゥアレグ級といえる広さがあり、2列目シートは余裕たっぷり。

3列目シートでも殆どの大人が問題なく過ごせるはずだが、身長が高い人は長距離を避けたいかもしれない。足もとの空間は広いものの、傾斜したルーフラインで高さ方向に少しの制限があるためだ。

そうはいっても、7シーターとしてのパッケージングは見事。内燃エンジンを搭載する従来モデルと比較しても、妥協のようなものは感じられない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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