燃費競争うんざり? 走りって楽しい国産コンパクト・ハイブリッド4選

公開 : 2021.12.31 09:45

ヤリス/アクアよりフィット

そんなヤリス・ハイブリッドや新型アクアに搭載している1.5Lエンジンを組み合わせるハイブリッドシステムは最新設計で、従来タイプに比べてモーターのアシストを増やして加速を力強くするとともに、速度上昇とともにエンジン回転数を高めるといった工夫を盛り込んでいるのが特徴だ。

その効果もありドライバビリティは大幅に向上。「ラバーバンドフィール」(ゴムひものようにルーズな感触)と言われた従来のトヨタハイブリッドに対して、走りの爽快感を語れる仕上がりになっている。

ホンダ・フィットe:HEV
ホンダフィットe:HEV

しかし、爽快感という意味ではフィットの「e:HEV(イーエイチイーブイ)」のほうが好印象。

このハイブリッドシステムは高速域においてエンジンの動力を機械的にモーターへ繋げる状態もあるが、60km/h以下ではエンジンは発電機に徹し、駆動力はすべてモーターが担う仕掛けを採用する。

駆動力の作り方でいえばEVと同じ状態になるのだ。つまり、EVライクな走行感覚となる。

そのフィーリングは、トヨタ式とはまったく違うのだから面白い。

エンジンの存在は感じさせず、ただただモーターが生みだすスムーズでリニアな加速が楽しめる。

フィットのハイブリッドシステムは燃費ではトヨタ式に負けるものの、心地よさではトヨタを上回る。

運転していて心地いいのはヤリス・ハイブリッドやアクアよりもフィット・ハイブリッドだ。

ただ、心地よさでフィットよりもさらに上をいくクルマがある。

フィットより上の心地よさ

心地よさでフィットよりもさらに上をいくのが日産ノート

採用する「eパワー」と呼ぶシステムは、どの走行領域においてもエンジンは発電機に徹し、駆動力はモーターだけが生み出す。

日産ノート
日産ノート

ホンダのe:HEVに比べるとエンジン直結モードがないだけ機構がシンプルだ(その分高速領域の燃費向上に不利)。

とはいえ、アクセルを踏む喜びはトヨタ式やホンダ式の比ではない。

スムーズなのに加え、ドライバーのアクセル操作に対する反応が良く、さらにはアクセルを深く踏み込んだ時の「伸び感」があるのがその理由。

エンジンに例えるとするならば、レスポンスがよく高回転でパンチ力のある自然吸気エンジンに近い感覚だ。

もしも加速の心地よさでコンパクトハイブリッドカーを選ぶなら、現時点でのチャンピオンは迷うことなくノート。

ガソリン車とはまったく異なるモーターならではの加速感は、正直なところ癖になるので気軽に試乗などしないほうがいいかもしれない。

乗ると、その加速感に心を奪われ、欲しくなってしまうからだ。

こうして運転する心地よさの観点からハイブリッドカーを見て思うのは、ガソリン車の基準で加速の爽快感を求めるのはやめたほうがいいということ。

考え方を変え、滑らかさや反応の良さなどモーターならではの新しい爽快感に快楽を見出すこと。それが、ハイブリッドカーの運転を楽しむコツである。

とはいえ、違う意見もあるだろう。

ハイブリッドでもガソリン車のような手ごたえ(足応え?)のドライバビリティで運転を楽しみたいという要求は心から理解できる。

そんな人にオススメするクルマがもう1台ある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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